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大学債発行と大学の基金運用
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東京大学が「東大債」を10月にも発行するという。国内の大学では初めての試みである。東大の坂田一郎副学長は目的を、こう公にしている。リモートで授業や研究活動ができる環境。先端的な研究設備や施設。そういったものに大きな投資も必要。
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計画では東大債は毎年、利払いをしながら40年間で返済する条件でまず200億円の調達を目指す。さらに今後10年間で1000億円の調達をしたいという。財政難の中、国からの交付金が漸減傾向にある。「規制緩和」が大前提になるが、東大に次ぐ「国立大学債」の発行が広がっていくのではないか。
その延長線上には公立・私立大学債の登場も否定できない。国内の大手格付け機関でこう聞いた。「大学債の格付けという時代がやってくるのではないか。その格付けが、少子化時代の中で大学選択の基準となりうる。格付けが低い大学の債券の表面利率(クーポン)は高くなる。極論すれば少子化に加えクーポン多寡が、大学の淘汰・再編に拍車をかけることも予想できる」。一理ある、と思った。と同時は「我がM大学の格付けはまさか、ジャンク債級ではないだろうな」といささか心配にもなった。
東大債発行の報道にも関心を覚えたが、それ以上に仰天したのは、「実は東芝の第3位の株主は(米国)ハーバード大学だ」と聞かされた時だった。ハーバード大学には傘下の資産運用会社:ハーバード・マネジメント・カンパニーがあり、約4兆円の資金運用を行っている。そのうち約2割が海外の株・債権に向けられているというのだ。
だが手元の四季報では確認できない。話を聞かせてくれた主は「運用会社の資金は、ゴールドマンサックスやJPモルガンチェース(名義)経由で入ってくるので分かりづらいだけ」と断定的だった。
実は国内の大学も、資金運用を行っている。周知の通り大学別に多寡は異なるが、「入学金」をはじめ毎年相応額の資金が入ってくる。高金利時代なら「銀行預け」も悪くはないだろうが、この間長期に亘り「超」の字がつく低金利時代を余儀なくされている。
手元に2018年11月以降の東大の実践ポートフォリオグラフ(総額110億円)がある。それによると「先進国債券が30%」「債権マルチ(分散投資型債券ファンド):30%」「グローバル株式:20%」「プライベートエクイティ:10%」「不動産:10%」という状況。そして肝心要のパフォーマンスは19年4月~20年3月で「利配収入1億3,742万円」、「評価損益増減額-2億6248万円」、「総合収益: -1億2506万円」。
なお、最も運用基金が多いのは慶応大学の約480億円。ハーバード大学の10%強水準にとどまる。「大学債発行」「大学の資産運用強化」は日本でも議論が高まって然るべきと思うが・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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