ホンダ・フィット:順調な人気(実用的)、トヨタ・ヤリス:意外な人気(スポーティ)

2020年8月17日 12:28

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トヨタ・ヤリス(画像: トヨタ自動車の発表資料より)

トヨタ・ヤリス(画像: トヨタ自動車の発表資料より)[写真拡大]

 2020年2月に販売が開始された日本を代表するコンパクトカー2車種、トヨタ・ヤリスとホンダ・フィット。その売り上げがともに順調に推移している。もちろんコロナ禍の影響は大きく受けているのだが、2車種が日本市場で共存できる特性をそれぞれ備えているようだ。

 3-7月の5カ月間の販売台数では、ヤリスが5万8,642台に対し、フィットが4万9,286台と互角に近い実績を残している。ディーラーの販売力の差を考慮すると、フィットが商品力としてはやや健闘していると言えるのか?

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 当初から、両車が共存してそれぞれ売れるであろうことは想像できる内容だった。フィットは実用域で需要を見込み、ヤリスはクルマの操縦性能を高次元で市販車にしたクルマだ。「実用的:ホンダ・フィット、スポーティ:トヨタ・ヤリス」と棲み分けが明確であり、それぞれの人気が出ていると言える。

 意外なのは、両車とも60歳代以上の購入者が約6割を占めることだ(東洋経済「ヤリスとフィット、「購入動機」の決定的な違い」より)。若干ヤリスの購買層が若いようだが、フィットの乗り心地が良くパッケージングが実用的なのに比べ、WRCのホモロゲーションカーの位置づけになるヤリスが、これほど高齢者に人気になるとは意外な感がする結果だ。それほどスポーティでありながら、実用性にも気を配ったヤリスの姿をにじませる。

 この2車種の特性はこれまでの企業イメージとしては真逆に見えるのだが、ホンダはグローバル経営ですっかり企業体質が変化してきたものと感じる。「売りたい」のだ。本来コンパクトカーのジャンルでは、スポーティな操縦性能よりも実用的パッケージングで、親しみやすいデザインと豪華装備が歓迎されるはずだった。フィットが圧倒的に売れても良い市場の情勢にある。

 しかし、ヤリスの健闘には、クルマ本来の走行性能の高さがあり、それが安全性に繋がり、さらに実用的であることがクルマの理想であるのが評価されていることが見える。実用車の世界ではWRCカーである必要はないのだが、本来のクルマの在り方を模索するトヨタの姿勢は基本であると受け止めたい。これからしばらくは、フィット、ヤリスとも順調に販売台数を伸ばすものと考えられる。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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