三菱H-IIAロケット42号機打ち上げ成功 (3) 次期主力ロケットH3コスト半減に期待

2020年7月31日 08:38

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 次に続くのはH3ロケットだが、これは「ロケット打ち上げビジネス」として商業ベースに乗せることを目指し、大幅なコストダウンを目指している。主に、民生部品を活用してコストダウンしているようだが、これで信頼性が落ちてしまわないように技術的積み上げが大変だ。

【前回は】三菱H-IIAロケット42号機打ち上げ成功 (2) 糸川教授の意思? 軍用でなく商用軌道に乗るか?

 H3ロケットの最大の狙いはコストダウンであるのだが、機体の設計・開発段階から三菱重工が関わって商売感覚を取り入れようとしている。生産方式としては、「ライン生産方式」と言うよりは「セル生産方式」とでも言ったほうが良いのだが、生産を持続し、並行して営業を行う「量産」と言う概念に当てはめるのが、採算に乗せる「キーワード」となるのであろう。それは、コストダウンを図るには生産の「平準化」を行うのが基本であるからだ。

 特別な1品を製造するために、その時だけ生産規模を拡大し、その時だけの設備投資をして、その時だけの技術者を集めていては、コスト高に繋がって商売としては成り立たない。

 開発については「民生品」の活用がポイントとなるが、それはつまり「量産品」で安い部品の利用である。当然なのだが、「秋葉原電気街」でも売っているような部品を使うことだ。

 しかし、そこで「品質保証」の問題が出てくる。厳重に設計生産工程が管理され、1つずつ繰り返し組み立て工程で検査され、多くの歩留まりを当然として品質の保証をするのでは、コストダウンは図れない。これを量産品のような生産工程を管理下に置き、「造り方」で品質を保証していく概念に変えねばならない。

 ロケット打ち上げは「信頼性工学」の見本的現場である。量産品と同じ「検査をしてはならないような概念」で製造されたものが、検査を幾度も受けて出来ているものに匹敵する特別の1品製品として信頼性を保証できるのか?興味がある。これからの商業ロケット打ち上げの「最重要」課題になるであろう。ホリエモンのロケットが繰り返し同じようなステップで故障しているのは、こうした「品質保証」のプロがいないからであろう。

 H3ロケットの特徴としては、基本はH-IIロケットより大きく性能が高い。しかし、単純に大きいのではなく、ロケットブースターをつけなくてもH-IIロケットに匹敵する能力があり、メインエンジンも3基束ねている。これらをモジュール別に設計製作し、組み合わせを変えることが出来るようになっている。

 これは、クライアントの衛星の打ち上げ重量に応じて変化させることが可能で、打ち上げ衛星の大きさに合わせる幅が出来ていることを示している。これは「商売」の鉄則である。大いに期待していよう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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