遊園地・テーマパーク企業、19年収益は堅調も先行きは厳しく 帝国データバンク

2020年7月24日 17:07

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 帝国データバンクが遊園地・テーマパーク企業の実態調査を発表し、規模の大きい企業が比較的好調な一方、中小規模の企業では厳しい状況になりつつあることが分かった。

■189社の収入高合計は9,711億円

 22日、帝国データバンクが2019年決算における「遊園地・テーマパーク経営企業の実態調査」を発表した。これは同社の企業概要ファイル「COSMOS2」などから遊園地・テーマパークを経営する企業のうち、2017年から19年の3期連続で収入高が判明した189社を抽出して分析したもの。2019年決算における189社の収入高合計は9,711億6,000万円で、18年の8,950億780万円から8.5%増となり、18年の前年比1.7%増を大きく上回った。

■増収企業は微減も黒字企業が増加

 189社中、増収企業数は59社(構成比:31.2%、以下同じ)で18年の62社(32.8%)から1.6ポイント減。減収企業は89社(47.1%)で18年の89社(47.6%)から0.5ポイント減、横ばい企業は41社(21.7%)で18年の37社(19.6%)から2.1ポイント増となっている。

 18年、19年の2期連続で損益が判明した114社を見ると、19年に黒字だった企業数は91社(79.8%)で18年の86社(75.4%)から4.4ポイント増、赤字企業は19年は23社(20.2%)で18年の28社(24.6%)から4.4ポイント減少した。また2期連続で黒字だった企業数は78社(68.4%)、2期連続で赤字は15社となっている。

■小規模企業は厳しい状況が続く

 189社を収入規模別で分けると、1億円未満は25社、1億円以上10億円未満は95社、500億円以上は3社となるなど、18年と変わらず。ただし500億円以上の3社中、18年は増収が1社、減収が2社だったが、19年は3社ともに増収となった。

 だが10億円未満の117社中、18年は増収が34社、減収が58社から、19年は増収が31社、減収が63社となるなど、小規模な企業の苦境が分かった。さらに新型コロナウィルスの影響により「先行きは厳しい見通しが続く」。

■「ムーミンバレーパーク」など関東、東京が好調

 全国11の地域別で増収だったのは東京(前年比:20.8%増、以下同じ)、東京を除いた関東(9.7%増)、四国(3.8%増)、北陸(2.5%増)、甲信越(2.3%増)、東北(1.4増)、中国(1.0%増)の7地域。東京や関東では「体験をテーマに楽しむVR(仮想現実)やリアル脱出ゲーム」「ムーミンバレーパーク」が好調要因となった。特に「ムーミンバレーパーク」を経営するムーミン物語は、増収率トップだった。

 反対に減収だったのは近畿(5.1%減)、九州・沖縄(4.6%減)、北海道(0.4%減)、東海(0.2%減)の4地域。特に不振が目立った近畿では、2018年に閉園した「スペースワールド」(運営会社は兵庫県姫路市に所在)とともに、台風などの自然災害がマイナス要因となった。

■売上トップのオリエンタランドは4,497億円

 売上高トップは、東京ディズニーリゾートなどを経営するオリエンタルランドで4,497億8,400万円(前年比:10.2%増、以下同じ)。

 以下トップ10は、バンダイナムコミュージアムが798億2,700万円(58.3%増)、東京ドームが644億9,000万円(5.1%増)、富士急行が298億7,400万円(2.9%増)、モビリティランドが271億1,800万円(5.1%増)、長島観光開発が248億900万円(2.2%減)、ハウステンボスが236億3,800万円(10.0%減)、西武鉄道が225億5,100万円(2.1%増)、よみうりランドが211億1,300万円(5.8%増)、横浜八景島が118億1,400万円(5.8%増)。上位10社中、8社が増収だった。

 なおユニバーサル・スタジオ・ジャパンの売上高などは不明のため今回の集計には含まれていない。また参考ながら常磐興産の観光部門の売上高は124億1,800万円(4.0%減)となっている。(記事:県田勢・記事一覧を見る

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