東工大ら、透明なp型超伝導体となる物質発見 世界初

2020年7月20日 19:14

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透明性を有するp型超伝導体を合成する手法(写真:東京工業大学の発表資料より)

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 電子回路を構成するのに不可欠な導電体。東京工業大学は16日、ニオブ酸リチウムが透明性をもつp型超伝導体であることを発見したと発表した。

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■未発見のp型透明導電体材料

 物質は電気の流れやすさによって絶縁体や半導体、導電体等に大別される。そのなかでも導電体や半導体は、負の電荷が動ける「n型」と、正の電荷が動ける「p型」に分類される。n型とp型は組み合わせることで電子回路を構成できるなど、重要な材料だ。

 一方で透明性を有する導電体はほとんど知られていない。ガラスのように透明性を有する物質は基本的に絶縁体に属する。透明性と導電性の2つの条件を満たし、すでに実用化されている物質としては酸化インジウムスズなどが知られている。だがこれらの材料はすべてn型であり、p型で透明性をもつ材料は低性能なため、実用化されていない。

 とくに電気抵抗のない超伝導体については、透明性を有するp型超伝導体はこれまで発見されてこなかった。

■特殊な構造が透明性を生む

 東京工業大学と東北大学の研究者らから構成されるグループは、透明性を有するp型超伝導体の材料として、「ニオブ酸リチウム」に注目した。ニオブ酸リチウムは昔から知られている超伝導体だが、薄膜化が困難で、さらに透明性を有するか不明だった。

 研究グループは、超伝導体を薄膜化する技術を開発。ニオブとリチウムからなる非晶質を薄膜化・結晶化し、ヨウ素溶液に浸すことで電子を引き抜く。これによって結晶性薄膜が合成され、50%の透過率をもつp型超伝導体を実現した。

 研究グループによると、ニオブ原子と酸素原子が物質内で作る三角柱型の結晶配列が、高い透明性を実現させているという。

 今後は、開発した手法が高性能化されるだけでなく、新機能の発見にも貢献することが期待されるとしている。

 研究の詳細は、Science Advances誌にて16日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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