赤外線レーザーがタンパク質構造の破壊促進 アルツハイマー等の治療法に期待 東京理科大

2020年6月12日 12:17

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今回の研究の概要(画像: 東京理科大学報道発表資料より)

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 東京理科大学は10日、代表的なタンパク質であるヒト血清アルブミンに金属錯体(金属と有機化合物等の配位子からなる化合物)を複合させることによって、赤外線レーザーによるヒト血清アルブミンの構造の変化が促進されることを確認したと発表した。研究グループでは、さまざまな病気の原因となる異常なタンバク質の凝集に関して、洗練された分解方法の開発につながるのではないかと期待している。

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■異常なタンバク質の凝集がさまざまな病気を引き起こす

 異常なタンバク質が凝集することによって、さまざまな病気が引き起こされることが解ってきた。

 例えば、高齢者に多い、パーキンソン病は脳の神経細胞にα-シヌクレインという異常なタンバク質が凝集することによって、神経細胞が死滅していくことが原因ではないかと考えられている。

 また、アルツハイマー症でも、脳にβアミロイドやタウタンパク質と呼ばれる異常なタンバク質が凝集することによって、神経細胞が死滅していくことが原因ではないかと考えられている。

 このような異常なタンバク質の凝集を分解することができれば、アルツハイマー病等の新しい治療法の開発につながる可能性がある。

■金属錯体を複合させることによって、タンバク質の赤外線レーザーによる構造の変化を促進

 研究グループは、代表的なタンバク質であるヒト血清アルブミンに金属錯体(ZnL)を複合させ、これに、1622cm-1、1652 cm-1、1537 cm-1という3種類の波長の赤外線レーザーを照射した。このうち、1622cm-1は金属錯体に吸収され、1652 cm-1、1537 cm-1はアルブミンに吸収される。

 すると、アルブミンだけの場合には概ねアルブミンの構造に変化はなかったものが、アルブミンに金属錯体を複合した場合には、1652 cm-1、1537 cm-1の2種類の波長でアルブミンの構造に変化が確認された。すなわち、金属錯体を複合させることによって赤外線によるアルブミンの構造変化の促進が確認された。

 研究グループによれば、この研究結果は他のタンパク質についても適用可能だという。

 東京理科大学では、すでに他の研究グループがアミロイドに赤外線を照射し、タンバク質の構造を変化させてアミロイドをバラバラのタンパク質に分解することに成功している。アミロイドは、タンバク質が凝集したもので、アルツハイマー症等のさまざまな病気の原因になると考えられている。

 このようなさまざまな研究が結びつくことにより、異常なタンバク質の凝集が原因となっているアルツハイマー症等のさまざまな病気に関して、新しい治療法の開発につながることが期待される。(記事:飯銅重幸・記事一覧を見る

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