「英語字幕」と「日本語字幕」、映画や海外ドラマの英語学習に効果があるのは?

2020年6月3日 18:03

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 英語学習に便利な映画や海外ドラマ、勉強するときに英語字幕はあった方がいいのか、ない方がいいのか。大学生を対象にした調査によると、英語字幕は学習に効果があるという。

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 植松茂男・同志社大学教授は2004年(当時は摂南大学教授)、「メディア教育研究」第1号に「DVD映画教材利用時の英語字幕が英語学習に与える影響について」との論文を掲載している。それによると、大学での授業を利用した調査において、映画に英語字幕を使用したグループは初級者、中級者ともにリスニング力が高まったという。

■英語字幕を利用するとリスニング力が高まる

 調査では、「映画などを英語字幕もしくは日本語字幕をつけて見ると、英語学習効果はあるのか」ということについて、大学生のグループを英語の初級者と中級者に分けて、合計14回にわたりアメリカ映画を視聴させて行われた。

 グループはそれぞれ、「英語音声+日本語字幕」と「英語音声+英語字幕」に分けて映画を視聴。1回目と14回目視聴後のTOEIC受験結果によると、英語字幕を見たグループは、初級者ではリスニングで、中級者ではリスニングとリーディング両方でスコア向上が見られという。一方、日本語字幕のグループでは、初級者、中級者ともに英語力向上に変化はなかった。

 このほかにも毎回の授業後にリスニングと読解・文法のテストを行ったところ、英語字幕を見たグループは、学習効果が現れていたという。リスニング情報に文字で読んだ情報が加わったことで、理解が深まることが要因となった。

 中級者ではリスニング力に加えて文法・読解力が向上、初級者にもリスニング力向上が見られた。話の内容が平易であれば初級者、中級者ともに効果的であるという結果だ。

 なお、英語字幕学習は上級者にはとりわけ効果があるそうだ。上級者の豊富な語彙力や文法の知識により、いっそう理解が進むという。

■どんな映画や海外ドラマを選ぶといいのか

 初級者、中級者ともに、自分の語彙力や文法のレベルにあった映画や海外ドラマを選びたい。初級者はやさしい内容の子ども向けストーリーがわかりやすい。スラングの少ない内容ならば、理解しやすく表現力も身につく。

 中級者も話が難しすぎないものを選びたい。法律用語や専門用語が多いものは理解が大変である。緻密なストーリーであれば、単語や文の構造が複雑になりがちだ。  

 海外での別の実験によると、初級者の読解や文法学習には「日本語音声(吹き替え)を聞きながら英語字幕を見る」ことも効果があるという。もちろん日本語字幕ではリスニング学習にはならないが、表現法や英語を読んで理解ができるため、読解や文法には役立つという。

■おすすめの学習法

 最初は英語字幕をなしで音だけに集中してリスニング力をつける。音やリズムになれたら英語字幕を表示すると、情報が増えて内容や文法の読解力が高まる。英語字幕を表示しての英語学習。ためしてみてはいかがだろうか。(記事:鵜飼圭・記事一覧を見る

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