2つの渦巻銀河合体で発生したジェットの検出に初成功 すばる望遠鏡が貢献

2020年4月26日 19:16

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ジェットを発生させている銀河の近赤外線画像。すばる望遠鏡によって撮影された。 (c) Vaidehi Paliya

ジェットを発生させている銀河の近赤外線画像。すばる望遠鏡によって撮影された。 (c) Vaidehi Paliya[写真拡大]

 超大質量ブラックホールから噴き出すジェット。楕円銀河からの検出が多い現象だったが、渦巻銀河の合体で発生したジェットの検出に、国立天文台を含む国際研究グループが成功した。国立天文台が運営するすばる望遠鏡も検出に貢献しているという。

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■噴出する高速ジェット

 銀河の中心にある超大質量ブラックホールから、ほぼ光速で噴出するのがジェットだ。物質や光を吸収するほど超大質量ブラックホールは強い重力をもつにもかかわらず、ジェットが外側に噴出されている。

 このジェットの噴出する巨大なエネルギー源となるのがブレイザーだ。超大質量ブラックホールの活動銀河核の一種であり、宇宙におけるもっとも激しい現象を作り出している。

 銀河はその形状によって楕円銀河や渦巻銀河、棒銀河などに大別される。2019年に撮像に成功した超大質量ブラックホールが属する楕円銀河M87もまた、ジェットの噴出が確認されるなど、ジェットの噴出は楕円銀河から確認されたものばかりだ。

 今回研究グループが検出に成功したのは、合体しつつある若い2つの渦巻銀河だ。それぞれの中心に超大質量ブラックホールが存在し、ジェットが噴出されているという。ジェットは誕生して1万5,000年弱と若い。このジェットは2つの銀河による相互作用によって生まれ、少なくとも50億年前に開始されたという。

 ブレイザーは一般的に明るすぎるため、源である銀河を覆い隠す。そのため、周辺環境の研究が難しくなる。今回発見されたジェットのエネルギーはそれほど大きくないため、源である銀河周辺のガスや星の研究が可能になった。検出されたジェットのうち70%強は、銀河の崩壊が予期されるジェットと似ていることから、2つの銀河とのつながりを明らかにした。

■世界最大級の望遠鏡を使用

 今回のジェットの検出には、世界最大級の望遠鏡が複数活用された。カナリア大望遠鏡やウィリアム・ハーシェル望遠鏡、すばる望遠鏡など地上に設置されたものだけでなく、チャンドラX線観測衛星も活用されている。すばる望遠鏡は、TXS 2116077銀河が似た質量の別銀河と2回目の衝突を起こしたことを明らかにしている。

 「(ジェットを発生させている)銀河の合体は最終段階にある」と、研究グループのひとりである国立天文台のス・へウォン氏は述べている。

 研究の詳細は、米天文物理学誌Astrophysical Journalにて1日付で掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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