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コロナショックに追い打ちをかける原油暴落の我慢比べ
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未曾有の暴落を続ける株式市場だが、そんな市場に追い打ちをかけているのが原油価格の下落だ。3月20日には一時1バレル20ドルを割り込み、2020年1月当初の価格1バレル61ドルの3分の1にまで落ち込んだ。暴落率でいえば、日経やダウ平均株価を凌駕する勢いである。
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原油価格急落の背景は、3月初旬に行われたOPEC(石油輸出国機構)プラスの協調減産の交渉決裂に他ならない。OPECにはサウジアラビアをはじめとする中東諸国が加盟しており、原油生産量の多いロシア、アメリカなどは非加盟であるが、今回決裂したOPECプラスにはロシアが参加している。
OPECプラスでは、原油需給・価格の安定化を促すため、これまで協調減産などを行ってきた。協調減産合意の度に1バレル20ドルほどの上昇をしてきただけに、コロナショックで原油需要が減少するなかでの交渉決裂は市場に悪いニュースとなった。
本来、原油価格が下がることは、非産油国や一定の業種にとってはプラスに働く。具体的には日本やドイツなどの非産油国や、空運・陸運・電気ガスなどの業種だ。しかし、コロナショックで空運や陸運の需要は乏しく、むしろ、原油安がデメリットとなる鉱業・石油製品・卸売業に与える悪いインパクトのほうがより大きくなってしまっている。
また、シェール革命によって2018年には世界第1位の原油生産国となったアメリカ経済に与えるダメージも大きい。OPECプラスの減算交渉決裂によって原油価格を故意に下落させ、アメリカで生産されるシェールオイルを市場から締め出そうという各国の思惑も見えるのだ。
このように、サウジアラビア、ロシア、アメリカが原油価格下落に対して我慢比べが行っていることも、コロナウィルス終息の兆しが見えないなか、株価の下落を加速させる一因になっていることは間違いない。
今後もコロナウィルスの動静を見極めつつ、OPECプラスの動向や原油価格についても注視することで、株式市場が安定するタイミングを計ることになるであろう。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る)
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