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米国、欧州、ロシアの火星探査計画に深刻な打撃 新型コロナの脅威
新型コロナウィルスの脅威は、世界中に拡散し、とどまるところを知らない。2020年は米国、欧州、ロシアがそれぞれに火星探査ミッションの口火を切る予定となっていた。
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ところが、3月16日にはNASAの研究所センターが封鎖され、7月に打ち上げが予定されている火星探査ミッション「MARS2020」に深刻な影響が生じる可能性があると、英EXPRESS誌が報じた。
さらに3月17日には、欧州宇宙機関(ESA)とロシア連邦宇宙局(Roscosmos)の共同ミッションである、火星探査計画「エクソマーズ」の打ち上げ2年延期のニュースが、同じく英EXPRESS誌により報じられている。
NASAの研究センター封鎖については、まだ正式な計画延期の報道はなされていないものの、NASAのMARS2020管理スタッフの見解として、宇宙機関の一部の閉鎖がミッション運営に重大な支障を来たす可能性を報じている。
既にNASAでは、カリフォルニアのエイムズ研究センターが閉鎖され、対応フレームワークの「ステージ2」の状態に置かれている。ステージ2では、可能な限り自宅で仕事をし、すべての会議と訪問者をキャンセルするという対応がなされており、MARS2020ミッションは現在のところ事実上停止している状況にあると言わざるを得ない。
一方、ESAとRoscosmosの共同火星探査計画エクソマーズの2年延期は、ロボットの一部の電子機器や、ソーラーパネルにハードウェアの問題があり、その対応に必要となる部品調達が国境閉鎖の影響で遅れているためだ。これらを組み上げ、ソフトウェア上の問題を解決し、最終的な動作確認テストを行うための十分な準備期間が確保できなくなったことが要因という。
もともとエクソマーズの打ち上げ計画は、2018年に予定されていたものが2年延期となり2020年に計画されていたが、さらに2年の延期となったわけで、新型コロナウィルスに思わぬところで脚を引っ張られる形になってしまった。
1969年に人類は初めて月に降り立ったが、あれから50年以上が経過した現在においても、人類にとっては、火星という存在は非常に遠く、なかなか手の届かない存在のようである。宇宙の神様も人類を手助けするどころか、思いとどまるように仕向けているのだろうか。
新型コロナウィルスの脅威は、我々の日常生活を脅かすだけでなく、人類のテクノロジーや科学の進歩にも深刻な影響を及ぼしつつある。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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