変形ハンドルのメリット・デメリット ルーツはF1でロックトゥロックが半回転

2020年1月16日 08:13

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ホンダ・S660のハンドル。(画像: 本田技研工業の発表資料より)

ホンダ・S660のハンドル。(画像: 本田技研工業の発表資料より)[写真拡大]

 近年、車のハンドルは真円でない変形ハンドルが増えている。多くは「D型」と呼ばれる、下になる部分が水平になっているタイプだ。乗り降りの時など膝付近のスペースが楽になるのだが、ハンドルを切る時には違和感を訴える人もいる。

 ルーツはF1マシンだが、乗用車にメリットはあるのだろうか?機敏な反応を求める場合と、楽な操作を求める場合でどの様なセッティングをしていったらよいのであろうか?

 変形ハンドルのルーツはF1マシンのようなコックピットの狭いレース車両で、スペースをとって操作時に楽にしようとしたのが始まりであろう。確かに楽になるのだが、市販されている車では「ロックトゥロック」と言われる、ハンドルが端から端まで3~4回転もする状態だと、ハンドルが真円でないと操作中に掴むところが変わり違和感が発生してしまう。

 すると、そもそも「なぜハンドルはそんなに回さなければならないのか?」となるのだが、F1マシンではせいぜい半回転、180度ぐらいで収まっている。市販車でもそれで済むのならそれでも良いと思う。では、どうして3~4回転前後が普通となっているのか?疑問だ。

 それは、「パワーステアリング(パワステ)」がない時代、重いハンドルを日常的に人間の力で回せることを考えると、ハンドル径は今より大きく、ギアのかみ合わせの関係で3~4回転くらいが必要となってしまったからだ。

 その後パワステが実用化出来ると、「小指でも回せる」ハンドルがアメリカ車に登場した。ドイツ車では、「高速走行では重く、車庫入れなどでは軽く」セッティングしてきていた。

 現在では「フライバイワイヤー」が搭載され、電子制御によってどのようにでも「味付け」出来る技術となっているため、低速ではハンドルの動きに対してキレ角を大きく、高速ではキレ角を少なくすることも出来る。

 あとは運転者の「違和感」が、これまで使い慣れたキレ角に比較して起きてくるので、車庫入れなどではよく切れるハンドルで、高速ではあまり過敏にならないようにして、運転者が慣れるのを待つしかあるまい。そうしているうちに「全自動運転」となると期待しよう。

 現在でも、変形ハンドルやパワステの味付けについては試行錯誤が続いているようで、マツダ3とスバル・インプレッサでは味わいが変わってくる。そろそろ標準化が出来ないものであろうか?(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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