新しい探索技術で未知の小型ブラックホールが発見可能に 米大学の研究

2019年11月5日 15:33

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 ブラックホールの存在は、アインシュタインが唱えた一般相対性理論から導き出されたもので、それを直接観測可能になったのはつい最近のことである。理論的には太陽の質量の2.5倍以上の恒星は、その生涯を終える際にブラックホールになるとされてきた。

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 また従来知られていたブラックホールの質量は、太陽の5~15倍程度とされていたが、重力波を用いた観測で、太陽質量の25~35倍程度の大きさのブラックホールが立て続けに検出されている。

 今回紹介するのは、太陽質量の5倍未満の小さなブラックホールの検出が、最近開発された探索技術により可能になった、というニュースである。

 従来ブラックホールが存在する連星系では、連星同士の相互作用と恒星ガスがブラックホールに吸い寄せられる際に発生するX線が観測されることを利用して、ブラックホールの探索がなされてきた。この方法で見出されたブラックホールの大きさは、太陽質量の5~15倍程度とされてきた。

 だが11月1日のScience誌に米オハイオ州立大学の研究者などが発表した論文では、相互作用を示さない連星系において、X線放射の観測によらない連星の動径速度と明るさの変動を観測することで、従来検出されたものよりも小さなブラックホールが検出できることが示された。

 動径速度とは、連星系がなす半径の変化速度のことで、これがわかれば軌道周期が導き出される。ブラックホールまたは中性子星(つまり径が小さく、質量が極端に大きな天体)が存在すれば、この軌道周期と明るさの変動周期が一致するため、このことを利用して銀河系にある多くの連星系を調べてゆけば、小さなブラックホールがたくさん発見できる可能性がある。

 連星系の観測で検出できるブラックホールの大きさを探索技術別にまとめると、次のようになる。一番歴史のあるX線観測では、太陽の5~15倍の質量のブラックホールが、また重力波の観測によって、太陽の20倍以上の質量を持つブラックホールが、さらには今回論文発表された技術によれば、太陽質量の5倍未満のブラックホールまたは中性子星が検出可能である。

 今回紹介したのは、恒星の末路として出現するブラックホールについての情報であったが、ブラックホールにはこれらとは全くスケールが異なる銀河の中心に存在する超巨大ブラックホールと呼ばれるものがある。これは銀河の中心を探れば探し当てることは可能だが、その発生メカニズムはいまだに謎の部分が多いということも最後に付記しておく。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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