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京大ら、雑草からアルテピリンC活性酵素を発見 高品質プロポリスの国産化に期待
高品質プロポリスの原料となるブラジル産のバッカリス(左)と国産のカワラヨモギ(右)の成分(写真:京都大学の発表資料より)[写真拡大]
京都大学は25日、国産の野生植物であるカワラヨモギから、アルテピリンCを作る酵素遺伝子の特定に成功したと発表した。最高品質と名高いブラジル産プロポリスの研究には国際協定のハードルがあったが、今回の発見で国産での高品質プロポリスの大量生産が期待できるという。
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■高品質プロポリス研究に立ちはだかる協定の壁
ミツバチがワックス成分を含む植物組織から採取するのがプロポリスだ。巣の修復に使われるプロポリスは、機能性食品やサプリメントとしても利用されている。とくにブラジル産プロポリスは抗腫瘍や抗炎症、抗菌等の生理活性効果が強く、世界的に評価が高い。
ブラジル産プロポリスの薬効成分が「アルテピリンC」と呼ばれる物質だ。「プレニル化フェノール」と呼ばれる化合物のグループに属するアルテピリンCの生成には、酵素遺伝子が鍵を握るという。
だが、フラボノイドやクマリンといったプレニル化フェノールが生成する酵素遺伝子は発見された一方で、アルテピリンCでは過去半世紀にわたって報告例がなかった。またアルテピリンCが含まれているブラジル産のキク科植物の一種であるバッカリスの取得には、国外からの遺伝情報の取得を定める名古屋議定書に抵触する可能性もあった。
京都大学と仏ロレーヌ大学の研究者から構成されるグループが注目したのが、国産植物のカワラヨモギだ。解熱や肝機能改善、消炎等の効果のある漢方でも使用されるカワラヨモギが、アルテピリンCに似た化合物を作ることを同グループは発見した。この化合物を作る酵素遺伝子を特定し、アルテピリンCを、酵母から作ることに初めて成功したのだ。
■生活に欠かせない二次代謝産物
アルテピリンC等のプレニル化フェノールは、生物体内で酵素により物質が合成される代謝産物のひとつだ。生物の維持に不可欠な代謝がある一方、プレニル化フェノールは、生育には必ずしも必要のない二次代謝産物に範疇される。だがタバコのニコチンやコーヒーのカフェインのように、我々の生活と関連が深く、医療品等にも利用されている。
アルテピリンCは口から投与することで、肥満やメタボリックシンドロームへの改善効果が期待されている。研究グループは今後、アルテピリンCの生産量を商業レベルで利用できるよう向上させるとしている。
研究の詳細は、英学術誌Communications:Biologyオンライン版にて18日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る)
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