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最大級の重力波望遠鏡KAGRAが完成 欧米2基と研究協定を締結
大型低温重力波望遠鏡KAGRA (c) 国立天文台[写真拡大]
国立天文台は4日、岐阜県飛騨市に大型低温重力波望遠鏡KAGRA(かぐら)が完成し、米国のLIGO(ライゴ)、欧州のVirgo(バーゴ)の2基の重力波望遠鏡と研究協定を締結したと発表した。これらの重力波望遠鏡で同時観測することで、重力波を生み出す天体がより正確に特定可能になるという。
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■一般相対性理論からの帰結である重力波
重力波は光の速度で伝わる時空のさざ波で、アインシュタインが1916年に発表した一般相対性理論から予言される。米天文学者のジョセフ・テイラーとラッセル・ハルスが、中性子星の連星間の距離が重力波によって近づいていることを発見し、重力波の存在は間接的に証明された。
質量をもつ物体が加速度運動することで発生する重力波は、高密度かつ大質量の物体が加速度運動しないと観測されないという。
地上から重力波を検出するためには、干渉させた光の強度を計測可能なレーザー干渉計が必要になる。重力波による干渉状態の変化をとらえることで、重力波が検出されるという。だが高密度かつ大質量の物体が加速度運動した場合など、観測できる重力波は限られるため、感度の高い大きな装置が必要になる。
LIGOとVirgoはキロメートルスケールの干渉計へとアップグレードされている。他方300メートルのTAMA300が日本では最大のレーザー干渉計で、第2世代の重力波検出器の完成が待たれていた。
■カミオカンデのある神岡町に建設されたKAGRA
KAGRAは、宇宙素粒子研究施設カミオカンデのある神岡町に建設された。東京大学宇宙線研究所、高エネルギー加速器研究機構、自然科学研究機構、国立天文台の協力のもと、富山大学などの研究機関がプロジェクトを進めてきた。4月には全ての機器の搬入、設置が完了し、現在試験運用中だという。
KAGRAはブラックホールの解明を目指し、史上初となる重力波の直接観測に挑戦する予定だ。重力波を生む天体は、複数の重力波望遠鏡で同時観測を行なうことで、その位置が特定されるという。それに先駆け、KAGRA、LIGO、Virgoのあいだで研究協定調印式が実施された。
KAGRAなど3基の重力波望遠鏡による共同観測が年内に実施され、重力波を生む天体の検出と正確な位置特定の実現が期待される。(記事:角野未智・記事一覧を見る)
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