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「はやぶさ2」が地球帰還に向けて旅支度を開始
はやぶさ2のCGイメージ。(c) JAXA[写真拡大]
2014年12月3日に種子島宇宙センターから打ち上げられた「はやぶさ2」も、宇宙での滞在期間がやがて5年になろうとしている。
目標天体である小惑星「リュウグウ」に到達したのは2018年6月であったが、それからすでに1年以上が経過した。小惑星「リュウグウ」は直径約900mで、表面の岩石に有機物を多く含むとされるC型小惑星に分類されル。地球の公転軌道をかすめる距離に接近する可能性があり、万が一にも地球に衝突した場合、甚大な被害をもたらす存在としても認識されている。
ちなみに直径150mクラスが東京に落下した場合、23区が全滅するほどの被害があると言われている。リュウグウの直径から考えると関東地方が全滅するほどの衝撃があるだろう。ただし現在のところ、地球にリュウグウが衝突することを示唆するデータは何も存在しないので安心してほしい。何億年ものスパンで考えた場合、衝突の可能性がゼロとは言い切れないといった程度のリスクにすぎない。
リュウグウを研究することで、地球で生命の源となった有機物の太陽系における由来の謎が解明できると考えられているが、本格的なデータ解析ができるのは「はやぶさ2」が地球にサンプルを持ち帰ってからの話になる。
肝心の「はやぶさ2」が地球への帰還を開始するのは、今年の年末の予定であり、そろそろ帰還準備を始める時期に差し掛かっている。
「はやぶさ2」がリュウグウで採取したサンプルを地球に無事持ち帰るには、サンプルの入ったカプセルを「はやぶさ2」に投入し、密閉する必要があり、これが帰還準備の最も重要な任務であった。8月26日に「はやぶさ2」はこの最も重要な任務を無事遂行し、地球に向かう最適な軌道に乗るためのタイミングを待つだけの状態となった。
いっぽう、サンプルリターンされる地球上での準備も着々と進められている。カプセルが着地する予定地点を決め、オーストラリア政府の関係機関との調整も順調に進んでいる。カプセルが着地する地点は、南オーストラリア州のウーメラ管理区域で「はやぶさ」のカプセルが帰還したのと同じ区域が予定されている。
「はやぶさ2」の持ち帰ったサンプルが入ったカプセルが地球に再突入するのは、2020年の11月か、12月とのことである。「はやぶさ」帰還の感動を日本人が味わったのは2010年6月13日のことであったが、それから約10年後に、再び「はやぶさ2」帰還の感動を味わえるチャンスがすぐそこまで迫ってきている。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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