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NASAがブラックホールを可視化した画像を公開
ブラックホール周辺の光の経路を可視化 (c) NASA’s Goddard Space Flight Center/Jeremy Schnittman[写真拡大]
4月に電波望遠鏡を複数利用し、世界で初めてブラックホールの撮像が成功したことは記憶に新しいだろう。ブラックホール近傍で発生する重力の歪みを可視化した画像を米航空宇宙局(NASA)が公開している。
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■可視化できないブラックホール
太陽の8倍以上の質量をもつ恒星は、終末期に入ると核が自らの重力で支えきれなくなり、「超新星爆発」と呼ばれる崩壊が生じる。超新星爆発後には、核だけが残る中性子星に変化するか、もしくはブラックホールが誕生する。重力の強いブラックホールは物質だけでなく光をも吸い込むため、ブラックホールそのものは観測されない。
可視化できないブラックホールの存在の理論的根拠となったのが、アインシュタインが1910年代に発表した一般相対性理論である。独天文学者のシュヴァルツシルトがアインシュタイン方程式の特殊解として提示したのが、ブラックホールの始まりだ。当初数学的存在とみられていたブラックホールだったが、X線観測により物理的に存在する天体として認知されるようになった。
■何が可視化されるのか
ブラックホールを取り巻くのが、塵やガスから構成される降着円盤だ。塵やガスが衝突する摩擦熱により放射されるX線が、地球から観測できる。
NASAが可視化したのは、ブラックホールの重力による光線の歪みである。重力の影響で降着円盤近傍の光は、ブラックホール周辺を旋回している。これが「光のリング」と呼ばれるものだ。光のリングの内側に映る影には、ブラックホールが位置している。リングを航行する光はブラックホールの周囲を数回公転したのち、われわれの視界では確認できなくなる。
光のリングを囲む渦は、降着円盤から離れた場所で放射された光の経路を示している。ブラックホールの重力により光が歪められ、奇妙な形が現れている。左よりも右が輝いているのも、一般相対性理論からの帰結であり、左側の円盤部分はガスがわれわれに向かって早く移動するため、明るさが強くなるのだという。
研究グループはシミュレーションを用い、ブラックホール周辺を取り巻く重力の歪みを可視化した。「ブラックホールの可視化はわれわれの想像やコンピューターシミュレーションに限定されるものだったが、本当にブラックホールを観測できるとは思わなかった」と、研究グループのひとりであるNASAゴダード宇宙飛行センターのJeremy Schnittman氏は語っている。(記事:角野未智・記事一覧を見る)
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