縮小するのは“東京”だけでは無い 規模縮小は必然か? 世界のモーターショー

2019年8月19日 08:18

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記事提供元:エコノミックニュース

前回、2017年にビッグサイトで開催された「第45回東京モーターショー2017」の入場口

前回、2017年にビッグサイトで開催された「第45回東京モーターショー2017」の入場口[写真拡大]

 10月24日から11月4日まで江東区有明の東京ビッグサイトで開催予定の「第46回東京モーターショー2019」は、前回よりもさらにスケールダウンしそうだ。開催概要を発表した主催者の日本自動車工業会(自工会/JAMA)の発表によると、2020年の東京五輪・パラリンピックを控え、11年以降メイン会場としてきた東京ビッグサイトの利用が制限され、東ホールが一切使えない極めて狭い会場での開催となる。

 1980年代から、東京モーターショーの来場入場者は100万人超が当たり前だった。しかし、2011年以降減少が続き、2017年開催の前回、第46回は約77万人だった。東京モーターショーが国際的なモーターショーとしての魅力を相対的に失っており、近年は海外メーカーの出展回避につながっている。今回の出展を見送ったのは、米ビッグスリーはもとより、イタリア、イギリス勢のほか、独フォルクスワーゲン(VW)やアウディ、BMWなども出展しない。

 ただ、今回は新たに「複数の会場を回遊」する形式とするほか、無料で見られるエリアを設けるなど「オープンな展示」をアピール材料にする。

 展示会場が大幅に縮小する理由は、ビッグサイトを東京五輪・パラリンピックの国際放送センター(IBC)として使うため、東京ビッグサイトで最大の面積を誇る東展示棟、東新展示棟が今回のモーターショーでは使えないからだ。

 そこでJAMAは会場をビッグサイトがある有明エリアだけでなく、西側の青海エリアにも広げるという。ビッグサイト展示棟に加え、トヨタのテーマパークである、ゆりかもめ戦でひと駅隣の「MEGA WEB(メガウェブ)」を無料で入場できるモーターショー会場として使うというのである。

 2つの会場をつなぐゆりかもめ高架下の道路を「オープンロード」として人とモビリティーが自由に行き交う近未来の都市交通の展示会場とするという。具体的には1.5kmの道路が電動キックボードやトヨタや日産などの超小型電気自動車などの試乗会場となる予定だ。

 また、道沿いにはカスタムカーのモーターショーとして人気の正月イベント「東京オートサロン」に出展した車両を展示するなど、「乗るだけでなく目で見ても楽しい」エリアとして相乗効果を狙う。

 さらに、無料で入場できるMEGA WEBでの展示会場には、自動車レースのゲームの腕前を競う「eスポーツ」やドローンレースの大会も開催し、若年層にもアピールする狙いだ。

 メーカーが描く未来のクルマ像や最新のクルマを展示するだけの従来型のモーターショーの魅力が落ちているのは来場者の減少が示すとおりだ。

 求心力が落ちているのは、何も東京モーターショーに限ったことではない。毎年1月にデトロイトで開催してきた北米モーターショーも参加メーカーが激減。最新の自動運転技術など「CASE」(つながる、自動運転、シェアリング、電動化)の将来技術を展示する場は、同時期に行なわれる米CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)で、という流れに変わり、2020年以降デトロイトショーは6月開催に変わる。

 欧州で開催する各モーターショーも芳しいとはいえない。2年に一度、世界最大の自動車ショーと言われる今年9月開催のフランクフルトモーターショーからトヨタが撤退する。同じく日産自動車、マツダ、三菱自動車もフランクフルトショーの出展を見送るという。ボルボは、モーターショーでは新たなプレゼンはしないと決めた。

 クルマがまだ人の眼に新鮮に映った時代、パワー&性能競争、新しいデザインの提案など、人間の官能性に強く訴える商品であった時代は、クルマを陳列するだけで十分な企画展示になった。そんな時代は終わったのか。(編集担当:吉田恒)

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