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史上最強! かに星雲から450TeVのガンマ線を観測 東大宇宙線研究所
宇宙線が大気中でつくる空気シャワー (c) チベットASγ実験グループ[写真拡大]
東京大学宇宙線研究所は7月3日、かに星雲から放射された最大450TeVのガンマ線を観測したことを発表した。これは天体からのガンマ線としては観測史上最高エネルギーである。
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■かに星雲
かに星雲は、1054年に爆発した星(超新星)の残骸である。超新星が出現したときの記録が、中国や日本で残っている。それによると、超新星は数週間もの間、昼間でも確認でき、約2年間に渡って夜空に輝いていたという。
星雲の中心には、元の星の中心核が中性子星として残っている。この星は1秒間に30回転しており、その自転運動によって、電波からガンマ線まで幅広い波長領域の電磁波パルスを放っているため「かにパルサー」と呼ばれている。
■空気シャワー
宇宙から飛来した放射線(宇宙線)は、地球の大気にぶつかると、大気中の酸素原子や窒素原子の原子核を壊し、エネルギーの低い粒子を大量に発生させる。これを「空気シャワー」と呼ぶ。空気シャワーを観測する方法としてはいくつかの種類がある。
1.地表アレイ
多数の粒子検出器を広大な領域に設置して、空気シャワーに含まれる荷電粒子を捉える方法。
2.空気チェレンコフ望遠鏡
荷電粒子の速度が大気中や水中での光速を超えたときに発生する衝撃波(チェレンコフ光)を観測する方法。
3.蛍光望遠鏡
荷電粒子が大気中の分子にエネルギーを与え、その結果分子から放射される光(蛍光)を観測する方法。
■今回の観測
日本と中国の共同研究チームは2014年、チベットに高感度の空気シャワー観測装置を設置し観測を開始した。
本研究では空気シャワーに含まれるミューオンのチェレンコフ光を観測した。2014年から2017までの約2年間分の観測データを解析したところ、最大450TeVのガンマ線がかに星雲から飛来していることが分かった。
高エネルギーのガンマ線が発生するメカニズムは、電子と光子の相互作用によるものと考えらえている。中性子星の自転運動によって加速された電子がエネルギーの低い光子と衝突することで、光子は電子からエネルギーを得て、高エネルギーのガンマ線になる。ガンマ線の元となる光子は宇宙マイクロ波背景放射が有力な候補として考えられている。
宇宙線については、現在のところ、どこから来ているのか、どんな自然現象によって発生しているのか分かっていない。この研究が宇宙線の謎を解く手がかりとなることが期待される。(記事:創造情報研究所・記事一覧を見る)
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