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5年先まで使える広告代理店的プレゼンテーション術 (4)
「海外賞狙うとか言うならさぁ…… ブロンズとか言ってないでさぁ…… せめてゴールドとかさぁ… グランプリでしょ……」
【前回は】5年先まで使える広告代理店的プレゼンテーション術 (3)
博報堂時代、M田CDに期初面談で言われた言葉です。真意は「中途半端に取り組むな!」でしょう。今日は、そんな広告賞とプレゼンの相関概念を語っていきます。
■(4)海外賞が獲れるか?という高い視座でプレゼンを見据える
私がCDとしてプレゼンに取り掛かる時は、最小限の人数で固め、【極めて個人的な欲望】をクリエイティブチームの中で握ってから、スタートしていました。
「D&ADでも獲ろうかぁ~」
(※D&ADとは非常にステータスの高いロンドンの海外広告賞です)
この俗な掛け声は、チームのモチベーションを上げるための社交辞令ではありません。今思うと、成功、名誉、承認欲求の先にある「自信」が常に欲しかったのだと思います。クリエイターは平静を装いながら、常に焦りを抱えています。もしご自身がクリエイターなら、推察できるはずです。
こうして、何かしらの広告賞を頭の片隅に入れて進めていく少数チームの利点は、一人一人がプレゼンに向けて明確に「役割と責任」を強く自覚できること。初めから権威ある賞を目指すことは、全知をふるって、より戦略的に取り組むことになります。それは自動的に企画が先鋭化されていくことです。
あとは、賞を獲りたい欲望に自分自身が支配されないようにすれば、首尾よく運びます。作業に多少の負荷がかかっても、未来の受賞を妄想できれば、クリエイターはそれをエンジンにして進んでいけます。
そして運よくプレゼンに勝利し、実施して成果を上げられれば、バイアスの無い海外賞や専門誌から評価され、「純度の高い自信」を手に入れられるのです。人数が少ないほど、その純度は高まっていきます。
このように、最初から受賞を意識し、高い視座からプレゼン作業することは、当事者たちの自覚を促し、且つ企画の弱い部分をあぶり出し、それを強化していくことになるのです。
最後に。「賞は、あとからついてくるもんだから…」という常套句を使う人がいます。断言しますが、ついてきません。最初から誘導しておかなければ、賞はついてこないのです。やや感情を手放して言うならば、このような常識風味の言説は、ぜひ無視していただきたい。各賞の傾向や業界のトレンドを先読みし、社会変革性の高いアイデアで狙っていくからこそ、賞は獲れるものなのです。
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