【どう見るこの相場】10連休で逆に「ワーク・ライフ・バランス」重視が強まり再び「働き方改革」関連株に出番を期待

2019年5月7日 09:31

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 さしもの10連休が明けて、令和最初の5月相場がスタートする。米国には、「Sell in May, and Go away(5月に売り逃げろ)」などの相場格言もあって、10連休中の浮かれモードから平時モードへの転換に上手に適応できるか、「ハレからケ」に切り替えられるか連休ボケなどもいささか心配になる。

 なかでも、トランプ米大統領の中国に対する制裁関税の25%への引き上げ言及で、連休明けの6日の中国・上海株が4%以上も急落するなどアジア株が軒並み安となり、きょう7日もなお警戒売りが続くのか急遽、対応を迫られることになる。そのうえ10連休直前の4月26日大引け後に発表された主力ハイテク株の市場評価もまだ定まっていず、連休明け後の5月9日から15日までは連休中のしわ寄せで決算発表ラッシュとなってこの集計作業に追われることは目に見えている。また10連休中の米国市場では、FRB(連邦準備制度理事会)の金融政策と4月の好調な雇用統計が綱引きとなりつつも一部株価指標が史上最高値を更新しており、中国との貿易協議の先行き不透明化と合わせて、遅ればせながらもこの投資判断なども怠れない。

 10連休明けとともに、市場関係者は誰も彼も急に忙しくなるが、それにしても、今年の日本は、この4月以降、イベント続きで大賑わいであった。新元号の発表、新札への刷新公表、統一地方選挙、天皇陛下のご退位・ご即位、10連休と過ぎ、このあと米国のトランプ大統領の来日、G20首脳会議、参議院議員選挙が予定され、9月のラグビーのワールドカップ日本大会、来年7月の東京オリンピック・パラリンピックなどが控えている。年金生活のシニア世代はともかく、現役世代は、イベント消化もままならず仕事に大忙しとなるのか同情を禁じ得ない。

 そこで今週の当コラムでは、全般相場のリスクオン、リスクオフとは別線で、この圏外に位置する「働き方改革」関連株に再び注目することとした。10連休中に折角、仕事と生活とを調和させるワーク・ライフ・バランスを実現した現役世代が、4月1日施行の働き方改革関連法案の本格化とともに、連休明け後により労働生産性の向上、効率化を求めるニーズを強めると見込まれるからである。折から5月29日から「第6回働き方改革EXPO」が、関連の7展示会とともに同時開催され、日本最多の800社が、企業の働き方改革の担当者との商談のために出展し、7月22日からは来年7月の東京オリンピックの1年前の本番テストとして「テレワーク・デイズ」が、前年より実施期間を伸ばして開始される。

 また市場内部要因としても、連休前にシェアリング・オフィス関連株などに好材料や好決算の発表などが目立ったことも注目される。連休明け後に発表ラッシュとなる今期業績のガイダンス全般が、アゲインストとなるかフォローとなるかまだ不透明ななか、「政策に売りなし」として関連株にアプローチしたい。

■連休前に好決算、好材料を発表の関連株は株価織り込みが加速

 シェアリング・オフィス事業は、就業時間と就業場所を柔軟化する「テレワーク」の受け皿となるサテライトオフィスやテレワークセンターを提供するソリューション関連で、連休前に好材料が相次いだ。ティーケーピー<TKP、3479>(東マ)は、4月9日に前2019年2月期業績を上方修正し、15日にはレンタルオフィス世界最大手のIWG社(スイス)の日本法人・日本リージャスホールディングスを461億1300万円超で買収することを発表した。株価は、ストップ高を交えて5520円まで1100円高し、2017年8月31日を基準日とした株式分割(1株を7株に分割)を勘案すると実質で上場来高値を更新した。同子会社化は、公正取引委員会の承認待ちとなっているが、国内レンタル拠点は、TKPの256施設と合わせて約400拠点に拡大し、時間貸しのほか短中期レンタル、サブスクリプション契約までフレキシブルな提供を可能になるだけに、なお高値挑戦が期待される。

 同じようにコアワーキングスペース事業を展開するスリープログループ<2375>(東2)も、4月25日に今2019年10月期業績を上方修正し、純利益は7期ぶりに過去最高を更新する。株価は、2月21日の年初来高値997円を上抜き1038円高値まで急伸し連休入りとなっており、続編展開が有力となる。また野村総合研究所<4307>(東1)は、4月25日に3月期決算と株式分割(1株を3株に分割、基準日6月30)を同時発表、業績も前期、今期とも続伸予想にあるだけに、年初来高値追いとなった株価は、連休明け後とともに株式分割の権利取りが加速する見込みだ。

 このほか2月期決算の「働き方改革」関連株は、パイプドホールディングス<3919>(東1)、エイトレッド<3969>(東1)、ベイカレント・コンサルティング<6532>(東1)、RPAホールディングス<6572>(東1)、ピー・シー・エー<9629>(東1)などが、4月中に好決算を発表しており、なかでもRPAHDは、今期純利益を9億3100万円(前期比66.6%増)と高成長を予想して連続の過去最高更新となり、パイプドHDは、今期純利益を7億円(同5倍)とV字回復と予想している。さらにオフィスセキュリティ関連のホーチキ<6745>(東1)は、4月26日後場取引時間中に発表した今3月期業績が、市場コンセンサスをクリアしたとして年初来高値更新と急伸しており、連休明け後もなおバリュー株買いの高まりが想定させる。

■連休明け後の決算発表予定の関連株は割安株に限定しマークして有望

 連休明け後の決算発表を予定している関連株では、働き方改革EXPOの関連展示会に出展の割り負け株が要注目となる。例えばRPA(業務自動化)や工場向けのスマートFA監視システムに注力中の都築電気<8157>(東1)は、4月26日大引け後に2019年3月期の上方修正と増配を発表し、連休明け後の低PER修正・高配当利回り歓迎の株価織り込みが始まることになるが、同時に5月10日予定の決算発表で2020年3月期の業績ガイダンスがよりクローズアップされることになる。

 同じく人事労務・教育・採用EXPOに出展のTDCソフト<4687>(東1)は、今年2月に2019年3月期業績の上方修正と株式分割を勘案した実質増配を発表しており、5月14日予定の3月期決算発表動向次第でさらに割安修正が続きそうだ。オフィスサービスEXPOに出展のイチネンホールディングス<9619>(東1)も、今年2月に発表した2019年3月期第3四半期業績が、3月通期予想業績に対して高利益進捗率を示しており、5月10日予定の3月期決算発表時の着地が注目される。またメドピア<6095>(東マ)は、投資採算的には割高だが、4月10日に株式分割(1株を2株に分割、基準日6月30日)を発表し、今年2月に開示の今2019年9月期第1四半期業績は、2ケタ増益と大きく伸びているだけに、5月10日発表予定の今9月期第2四半期決算の動向次第では、分割権利取りも加わり一段の上値追いに拍車が掛かりそうだ。(本紙編集長・浅妻昭治)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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