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ハッブル宇宙望遠鏡、宇宙の膨張速度が9%速くなっていることを発見
今回の研究では、大マゼラン雲にあるケフェウス型変光星70個が観測された (c) NASA, ESA, A. Riess (STScI/JHU) and Palomar Digitized Sky Survey[写真拡大]
ハッブル宇宙望遠鏡による最新の観測データを使い、天文学者がハッブル定数を計算した結果、従来の予測値よりも9%も大きく、既存の理論では説明のつかないものであることが分かってきたという。
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■ハッブル定数とは
ハッブル定数は宇宙の膨張率を表す定数である。
1929年、宇宙の概念を根底から覆すような発見があった。宇宙に散らばる銀河はどれも私たちの銀河から遠ざかりつつあり、その速さはその銀河までの距離に比例することが分かったのだ。
この事実は英国の天文学者エドウィン・ハッブルによって発見された。どの銀河も遠ざかって見えるということは、我々の銀河が宇宙の中心の様な感じがするが、それは錯覚だ。宇宙のどの銀河から見ても同様の光景が広がっている。
■銀河までの距離を測る
遠方の銀河がどれも遠ざかっていることを確かめるには、
・銀河の速度を測る
・銀河までの距離を測る
ことが必要だ。
銀河の速度を測るに方法としてはドップラー効果が使える。近づいてくる救急車のサイレンは高く、遠ざかる時には低く聞こえる。これがドップラー効果である。
ドップラー効果は音ばかりではなく光にも当てはまる。銀河の速度はかなり大きいので銀河に含まれる恒星の光にドップラー効果が生じる。このドップラー効果による波長のずれから銀河の速度が測れる。
銀河までの距離を測る方法の一つに「変光星」の明るさを利用するものがある。変光星とは明るさが周期的に変化する恒星のこと。中でもセファイド型と呼ばれる種類の変光星は、変光の周期と明るさの関係が分かっており、周期から実際の明るさを求められる。その見かけの明るさと比べれば、「遠くのものは暗く見える」という法則を使って距離が求められる。
今回の研究では、大マゼラン雲にあるケフェウス型変光星70個が観測された。地球とこれらの天体との距離を正確に測定することによって、より正確なハッブル定数が導き出されたという。
■今回の研究の意味
問題は、この値が宇宙誕生直後のものと一致しないことだ。宇宙誕生直後の膨張速度は宇宙マイクロ波背景放射(ビッグバンの残光)の観測を元に計算されている。
従来の理論では宇宙誕生直後と現在では膨張速度は変化していないはずであったが、今回のハッブル宇宙望遠鏡の観測結果により、実際は9%速くなっていることを示していた。今後のさらなる研究が期待される。
今回の研究結果はThe Astrophysical Journalへ掲載される。(記事:創造情報研究所・記事一覧を見る)
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