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歴史的発見 地球規模の望遠鏡でブラックホールを直接撮影 国立天文台など世界13機関
イベント・ホライズン・テレスコープで撮影された、銀河M87中心の巨大ブラックホール (c) EHT Collaboration[写真拡大]
日本の国立天文台など世界13機関が参加するイベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)は、巨大ブラックホールを直接的に撮影することに成功した。この画像の報告は4月10日、世界6カ所での同時記者会見で発表された。
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■ブラックホールとは
ブラックホールは極端に強い重力を持つ超高密度な天体である。ブラックホール近傍の「事象の地平線(イベント・ホライズン)」と呼ばれる境界より内側からは、光でさえ脱出できない。その存在はアインシュタインの一般相対性理論によって予言されている。
■見えないブラックホールを見る
ものを見るということは、物体から放たれた光を見るということである。光を出さないブラックホールをどのようにして見るのだろうか。
ここで、「黒い」物体を見るとはどういうことか考えてみよう。白い壁の部屋に黒いボールがあったとする。壁から反射された白い光は目に届くが、ボールは光を反射しないので
ボールの部分は暗く見える。
これと同じようにブラックホールの周りに光を放射するガスのようなものがあると、ブラックホールは影のように暗く見える。一般相対性理論によると、ブラックホール周辺の曲がった時空に沿って光の経路が曲がるので、ブラックホールの周りにリング状に明るい部分が見えることになる。
■地球サイズの望遠鏡
ブラックホールは非常にコンパクトな天体のため、それを見るには高性能な望遠鏡が必要になる。そのため世界各地の望遠鏡を組み合わせて、地球と同じ大きさの望遠鏡を構成した。これがイベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)である。
EHTの解像度は人間の視力300万倍に相当し、月面に置いたテニスボールを見ることが出来る。
■今回の成果と科学的意義
今回撮影されたのは、おとめ座の楕円銀河M87の中心にある巨大ブラックホールだ。撮影された映像を見るときれいなリングがあり、真ん中が見事に抜けている。ブラックホールが存在することを視覚的に明確に示している。
今回の観測は物理学と天文学にとって大きな成果をもたらした。物理学としてはブラックホールによる時空のゆがみの視覚的証拠が得られ、一般相対性理論が視覚的に検証された。
天文学としては銀河中心の活動銀河核の正体がブラックホールであることを解明することになった。(記事:創造情報研究所・記事一覧を見る)
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