合意なきブレグジット(2) ホンダの生き残りを左右するサプライチェーン

2019年2月21日 12:39

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■「BREXIT賛成の地」での出来事

 イギリス中部にあるサンダーランドは、イギリスがEU(ヨーロッパ連合)を離脱する「BREXIT(ブレグジット)」発祥の地とも言える。国民投票の時は61%の住民が、イギリス全土の中で先頭を切ってEU離脱に賛成した。当時から、今回の件は分かっていたことではなかったのか?現在、1国で経済が成り立つとしたら、それは30年前の中国ぐらいであろう。しかし、その中国ですら「世界の工場」でなければ発展できなかった。

【前回は】合意なきブレグジット(1) 日産、ホンダの撤退がイギリスの致命傷となるか?

 イギリスがこのような世界経済の中に身を置きながら、BREXITを決めたことは自殺行為ではなかったのか。アメリカも1国主義を掲げ、逆に中国は自由経済を世界に訴えるといった、妙なことになってきた。日本はTPPを唱えて自由貿易を推進しようとしているが、韓国も中国経済に傾斜して、世界から日本を無視しようとしている。

■ホンダの生き残りを左右するサプライチェーン

 日産、ホンダがイギリスから撤退するのは、世界で生産拠点を持つ自動車メーカーが、サプライチェーンをつくることがいかに難しい情勢であるのかを示している。「合意なきBREXIT」が起きれば、自動車生産は維持できないのだ。

 このサプライチェーンをつくることは、「開発・製造・生産・販売」と技術的な関連が深く、いかに難しい情勢であるのか考えさせられる。ホンダが世界において、1社単独で生き残れるのか心配しなければならない情勢だ。「ルノー・日産・三菱アライアンス」か「トヨタグループ」との連携を考えなければならないとすれば、現在の情勢ではトヨタグループとなろう。それは、AI自動運転・EV・IoT・カーシェアの急速な流れの中では、「トヨタ系列」の強みが発揮されるかもしれないと考えるからだ。混流生産・スイング生産・順序生産をかなえようとすれば、サプライチェーンが生産拠点ごとに、同レベルの品質で出来なければならない。さらに、モデルベース設計、モジュラー設計などを駆使する環境をも必要としているからだ。

 20年前、日産にカルロス・ゴーンが乗り込んできた時、自動車メーカーの最大の問題点と見ていた「系列か?グローバル発注か?」の結論は、意外な結末となるのが見えてきている。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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