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外国人労働者、雇用希望の企業は5割超え 一方で低賃金など課題も
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東京商工リサーチは25日、企業に対して行った外国人雇用に関するアンケート調査の結果を発表した。在留資格の拡大については賛成が7割超で、拡大した場合外国人を雇用したいと答えた企業は5割を超えたが、一方で低い賃金など雇用における課題も多いことが浮き彫りになった。
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企業が外国人労働者を求める背景には働き手が不足しているという現実がある。今回の調査では資本金1億円以上を大企業、1億円未満を中小企業と定義し、計1万353社の企業から有効回答を得た。そのうち約7割の企業が人手不足であると答え、そこに企業規模による差はほぼなかった。
特に深刻なのは建設業と運輸業で、人手不足を訴える企業は共に約8割を超えている。金融・保険業や不動産業は5割台と比較的低い。ただすでに外国人を雇用している企業は全体の約3割に留まり、業種別での最多は製造業の約4割で、建設業では約2割となっている。
人手不足の企業はどの業種にも約5割は存在するが、外国人労働者を受け入れている企業はそれに比べて少ない。雇用をためらう企業は日本語能力における懸念、受け入れ体制の未整備、手続きの煩雑さを主な理由に挙げており、それが影響していると考えられる。
なお雇用されている外国人労働者のなかでは技能実習生が3割以上で最も多く、農・林・漁・鉱業においてその割合は8割超と突出して高い。次いで建設業で6割、製造業で5割を超える。
国籍別ではアジア圏が全体の8割を超え、南米と欧州・ロシアは5%に届かなかった。アジア圏での最多は中国、次にベトナムが続き、それぞれが2割以上を占める。技能実習生は約6割がベトナムだ。
ただ外国人労働者の賃金は、月給で支払われている場合20万円未満が最多で、次点が20万円から25万円未満だった。時給だと地域別最低賃金よりも低い場合もある。そのためか企業に届いた外国人労働者からのクレームや不満のトップは賃金の低さであり、日本文化の強要、自国文化への無理解も上位となった。
このような外国人労働者は既に日本の労働現場で不可欠な存在ともなっている。しかし、人手を求めてはいてもいくつかの懸念から雇用に踏み切れない企業、雇用していても賃金や文化の問題から外国人労働者を満足させられない企業は多い。
パーソル総合研究所・中央大学の「労働市場の未来推計2030」では、2020年に不足する人の数は384万人にのぼると推計されている。そして2025年は505万人、2030年は644万人に増加するという。状況の更なる深刻化が見込まれる労働市場において、今後企業は外国人労働者の助けを借りられるか、その動向に注目したい。(記事:小椋恒示・記事一覧を見る)
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