国際帝石主導で開発した豪州ガス田から天然ガス初出荷、記念配当も

2018年10月25日 11:21

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初出荷を担うLNG船「パシフィック・ブリーズ」(画像: 国際石油開発帝石の発表資料より)

初出荷を担うLNG船「パシフィック・ブリーズ」(画像: 国際石油開発帝石の発表資料より)[写真拡大]

 国際石油開発帝石【1605】は22日、同社が豪州にて主導していたガス田より日本向けの天然ガスを初めて出荷したことを発表した。すでに1日付で同じ油田から超軽質油の出荷を始めていたことに引き続いての発表となった。計画では年間890万トンの天然ガスを出荷することになっており、うち7割が日本向けに出荷され、日本のエネルギー安定供給に貢献できることが期待されている。なおこの業績に対しての記念配当が期末に行われる予定である。

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 同社は日本最大の石油と天然ガスの開発会社である。2008年に国際石油開発と帝国石油が合併して現在の社名となっている。

 このプロジェクトは1998年に同社が約62%、オイルメジャーの1つであるトタル社が30%の参加権を得た。そして2012年に最終投資が決定され開発が進められていた。このプロジェクトには東京ガスや大阪ガス、そして東邦ガスと言った大手ガス会社や関西電力も出資している。

 ガス田はオーストラリア北部ダーウィン市の沖合約890キロメートルの海底にある。そこから出た天然ガスをパイプラインで陸上まで運ぶ。そして液化プラントで精製後、タンカーにて日本をはじめ、アジア諸国に輸送される。天然ガスの年間生産予定量である890万トンは日本が1年間に輸入する量の約1割に達する。

 天然ガスは原油よりも二酸化炭素の排出量が少ないため、原油に変わるエネルギー源として高い評価を受けている。さらに液化する技術も確立しているため、輸送も容易だ。そのため、将来的にもエネルギー源としての安定した需要が見込まれる。

 近年のオーストラリアは北部・西部の沖合を中心に大規模なガス田が発見され、開発が進められてきた。その結果、世界の液化天然ガス輸出量はカタールに次ぐ世界第2位となり、日本の液化天然ガス輸入相手国では第1位となっている。近年開発された日本向けのガス田ではオイルメジャーのシェブロン社が主導で開発したゴーゴン地域の天然ガスが出荷されている。

 これまで、日本の原油や天然ガスの輸入は東南アジアや中東諸国に依存していた。しかしオイルショック以降、政治的なリスクが問題視され続けていた。その中でオーストラリアは政情も安定し、政治経済面でも日本とは友好を保ってきた国である。今回のニュースは日本のエネルギー供給にとっては吉報となったと思われる。

 なお、期末の業績予想に関しては変更なしであったが、配当に関しては記念配当として6円の増配を予定している。(記事:福井廉太・記事一覧を見る

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