台風や地震で9月の景況感は3カ月ぶりに悪化 帝国データバンク調査

2018年10月4日 15:08

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 帝国データバンクの発表によると、引き続き建設需要が旺盛な一方、各地を襲った災害により、9月の景気DIは8月からわずかに悪化したことが分かった。

■災害で景況感が悪化

 3日、帝国データバンクが2018年9月におけるTDB景気動向調査の結果を発表した。9月の景気DI(動向指数)は49.4となり、8月から0.1ポイントの減少(景気の悪化)で、3カ月ぶりのマイナスとなった。

 動向では、「足踏み状態続く」としており、マイナスポイントとして台風21号による関西国際空港の被害と北海道地震による悪影響を指摘しつつも、都市部を中心とした建設需要や復興需要、日経平均株価が高値で推移、日米間で自動車分野の関税引き上げが当面回避を挙げて、「マインドプラスに働いた」としている。

■建設業界の好調続く

 業界別では、金融(9月の景気DI:48.5、8月比:1.0ポイント増、以下同じ)、建設(53.8、0.7ポイント増)、サービス(52.9、0.1ポイント増)、その他(46.3、1.3ポイント増)の4業界が改善した。建設は、首都圏や地方都市での建築需要や大規模修繕がプラス材料としており、DIの50台は1年3カ月連続、また3カ月連続で10業界の中で最もDIが高くなっている。

■運輸・倉庫業界は災害で大きな打撃

 不振だった業界は、農・林・水産(43.8、1.9ポイント減)、不動産(50.7、0.4ポイント減)、製造(50.0、0.2ポイント減)、卸売(45.6、0.7ポイント減)、小売(41.6、0.1ポイント減)、運輸・倉庫(49.5、0.8ポイント減)の6業界。

 3カ月ぶりの悪化になった運輸・倉庫業界では、軽油価格の上昇、人手不足に加えて、豪雨や空港閉鎖、大規模停電の被害が大きな下押し要因になった。

■「不透明感強まる」の見通し

 10月の予測DIは0.1ポイント減の49.3で、そこから2019年1月まで微減が続くと予測している。ただし、その後は反転基調となり、3月は49.4、9月は49.9と予測している。

 これについて、災害による復興需要や東京オリンピック、消費税引き上げの駆け込み需要を景気の下支えとし、賃金上昇や就業者の増加で2019年秋までは個人消費の回復傾向を見込んでいる。反面、天候不順や原油高による食品などの物価上昇、海外リスクの高まりを示して、「国内景気は不透明感が強まりつつある」としている。(記事:県田勢・記事一覧を見る

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