伸び悩みの葬儀業界、小規模業者の苦境も 帝国データバンク調査

2018年9月28日 21:36

印刷

 帝国データバンクが発表した葬儀業者の経営実態調査によると、葬儀の簡略化などにより市場規模が横ばいになっていることと、価格競争などにより小規模業者が厳しい状況にある状況があることが分かった。

■2107年度の売上高は9,115億円

 27日、帝国データバンクが「葬儀業者2163社の経営実態調査」を発表した。これは、同社の企業概要ファイル「COSMOS2」から直近4期連続で決算の年収入高が判明した葬儀業者2163社を対象として調査・分析したもので、同様の調査は今回が初めてとのこと。

 2017年度の収入高合計は9,115億2,600万円で、前年度比1.0%増。死亡者数と比例して葬儀件数が増加しているにも関わらず微増に留まった要因として、核家族化による家族葬の需要拡大で参列者数の減少や祭壇の簡略化など葬儀が小型化していることがあるという。

■大規模業者が好調

 収入高規模別では、100億円以上の業者では2017年度収入高合計は前年度比5.6%増の1,880億9,600万円だったのに対し、それ未満の業者では微増か減収となっている。特に1億円未満の業者では同1.7%減の438億7,700万円だった。

 大手は知名度による受注増加に加えて、同業間でのM&Aにより売り上げを拡大した企業も多かった一方で、小規模な業者は受注単価の減少が売り上げ減につながったという。

■小規模業者の淘汰も

 地域別で売上高が増えたのは、北海道(2017年度収入高:450億2,700万円、前年度比:0.3%増、以下同じ)、東北(1,026億8,000万円、1.8%増)、近畿(1,227億7,800万円、7.6%増)、中国(320億6,300万円、0.7%増)、九州(873億6,900万円、0.8%増)。

 反対に、関東(2,429億9,900万円、0.4%減)、北陸(758億4,400万円、0.5%減)、中部(1,650億8,100万円、0.1%減)、四国(376億8,500万円、2.4%減)では、売上高が減少した。

 都市部を中心に葬儀の簡略化や小型化が進むのに加え、大手の低価格化により価格競争が厳しくなっており、今後は認知度の低い小規模事業者の淘汰が進む可能性もあるとしている。(記事:県田勢・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事