車いすでも一人で乗降できる装置の実現へ JR西日本が共同開発企業を募集

2018年9月28日 17:14

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車いす利用者を介助する駅員。介助なしで乗降できる装置の開発を目指す(写真:ナインシグマ・アジアパシフィックの発表資料より)

車いす利用者を介助する駅員。介助なしで乗降できる装置の開発を目指す(写真:ナインシグマ・アジアパシフィックの発表資料より)[写真拡大]

 JR西日本(大阪市北区)は車いす利用者でも一人で電車に乗り降りできる装置の開発を目指し、共同で技術開発を行う中小企業を募集している。技術提案が採用された企業は、同社から最大500万円の資金提供を受け、試作機を開発。国からの補助金も受けられる可能性がある。提案の締め切りは10月5日。

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 JR西日本管内の駅ホームは、駅によって電車とホームの段差が異なり、最大10センチ、隙間も最大で30センチある。このため、車いす利用者が電車に乗るためには、駅員にその都度、渡し板を設置してもらわなくてはならず、利用者からは「駅員の介助を受けずに乗降したい」という要望がある。また、渡し板設置のため他の乗降客を待たせなくてはならないうえ、無人駅では対応が難しいことから、技術開発を行うことになった。

 今回の共同開発者の募集は、経済産業省が、精密計測・微細加工で優れた技術を有する中小企業と大手・中堅企業のマッチングを促進するために創設した「精密計測・微細加工プラットフォーム」を利用して行う。募集するのは、自動もしくは車いす利用者が自分で操作して電車に乗降できるシステムと、車いす利用者が電車に乗ったことを自動的に判断して元に戻すシステムの2つ。同社では、リモコン操作などで車両とホームの間に板を設置し、利用者が乗車した後は自動で板が元に戻るようなシステムを想定している。

 提案の募集は9月上旬から始まっており、応募の締め切りは10月5日。書類選考で5者ほどに候補を絞った後、11月に提案プレゼンテーションを行い、同月中旬までに共同開発者を決定する。共同開発者は来年2月までに試作機を開発し、3月上旬に発表。その後、JR西日本と共同で開発にあたり、19年度中の実証実験を経て22年度中の実用化を目指す。

 同社は「段差や隙間の解消は、さまざまな制約のある困難な課題だが、ものづくりに強い中小企業の技術力を結集することによって、解決できるのではないか」としている。

 応募についての詳細は「精密計測・微細加工プラットフォーム」のホームページhttps://ninesigma.co.jp/keisoku-kakou/contest-2018-jrwest/へ。プラットフォームは、技術コンサルタント会社のナインシグマ・アジアパシフィック(東京都千代田区)が運営する。

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