関電、通期の業績予想を発表 増収減益も50円へ増配

2018年9月20日 11:20

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 関西電力【9503】は18日、これまで未定としていた2019年3月期の業績と配当の予想を発表した。発表によると連結売上高は3兆3,300億円(前期比6.3%増)と増収を見込む一方、経常利益は連結で2,000億(前期比7.9%減)、純利益は1,400億円(前期比7.8%減)と減益を予想している、配当に関しては前期に比べ第2四半期末で10円増配の1株当たり25円になった。期末に関しても5円増配の1株当たり25円となり、年間合計は15円増配の1株当たり50円とした。

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 同社の発表によると、7月1日に実施した電気料金の値下げ(平均5.36%)に対する影響を勘案して業績予想の開示を遅らせていたが、最近の電力の需給状況をふまえての業績予想の開示となった。配当に関しては、財務の健全性の確保と安定的な配当を維持することを主眼としての予想開示としている。

 関西電力は近年、福島第一原子力発電所の事故による原子力発電所停止の影響を大きく受け、苦しい経営が続いていた。業績も2012年から2015年にかけて赤字決算が続き、財務状況も苦境に立たされていた。また配当も事故発生まで、毎期一株当たり60円の配当で安定していたが、2013年から2016年にかけて無配の状態が続いていた。電気料金の値上げにも踏み切り、消費者への影響も多大なものとなった。

 しかし2016年期から黒字化し、配当も2017年から復配。また長期間停止していた原子力発電所も、高浜・大飯原子力発電所にて再稼働している。一方で関西電力を取り巻く環境は以前のような安泰な環境とは違ってきている。電力小売りの自由化や太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーの普及などが新たなライバルとして出現。供給関連も主力の火力発電に必要な原油が価格高騰の兆しがみられるため不安が残る。

 配当の方も増配となったが、原発事故以前の60円配当には届いていない。かつて、関西電力をはじめとした「電力株」は投資家にとっては安全パイのようなイメージを持たれていた。しかしその地位に返り咲くには課題が多く残されている。(記事:福井廉太・記事一覧を見る

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