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自閉スペクトラム症と統合失調症の発症メカニズムにオーバーラップが存在
研究の概念図。(画像:日本医療研究開発機構の発表資料より)[写真拡大]
自閉スペクトラム症(ASD)と統合失調症の発症メカニズムには、少なくとも遺伝的基盤において、何らかのオーバーラップ(重複)が存在するという事実を、名古屋大学などの研究グループが明らかにした。
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研究に参加したのは、名古屋大学大学院医学系研究科精神医学の尾崎紀夫教授、同大高等研究院の久島周特任助教ら、日本医療研究開発機構ほかの国内の研究機関。
ASDと統合失調症は、少なくともこんにちの精神科診断学においては、まったく異なる疾患概念である。
統合失調症は古くから知られた精神病の一種で、幻覚や妄想などの陽性症状、意欲低下などの陰性症状、認知機能の低下などの主症状をもつ。有病率は世界のどの社会どの文化圏においても約1%とされ、日本だけで約80万人の認知患者数がある。
いっぽう、自閉スペクトラム症(ASD)は、発達障害に分類される。古くは自閉症(カナー自閉)とアスペルガー症候群の二群を構成したが、その後自閉スペクトラム症の名で統一された。社会的コミュニケーションや対人関係の障害などを特徴とする。
さて、今回の研究においては、両疾患の日本人患者ならびに健常者を対象として、ゲノムの分析を行った。結果、両疾患に共通してみられる遺伝的変異が29個発見され、両疾患には共通の遺伝的基盤があることが強く示唆されたのである。
以上のことは、何らかの形で共通の新規治療薬が開発されること、ゲノム変異に着目した新たな化学的診断法が確立されること、そして或いは、疾患概念そのものの見直しが遠い将来において行われることになるかもしれないという可能性を示唆している。
なお、本研究についての詳細な内容は、アメリカの科学雑誌「Cell Reports」に掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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