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NYの視点:FRB高官がFOMCの利上げ軌道を確認、トランプ大統領の批判には屈せず
*07:39JST NYの視点:FRB高官がFOMCの利上げ軌道を確認、トランプ大統領の批判には屈せず
米国ワイオミング州ジャクソンホールでは、カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウムが開催されている。世界経済が安定しつつあることや、日銀の黒田総裁や欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁、英中銀のカーニー総裁も出席を見送っており、注目度は低い。ただ、新興諸国の中央銀行高官が出席予定で、新興諸国通貨の協議が主議題となる可能性がある。
また、米国の経済や金融政策を探る上でも重要なイベントととらえられている。連邦公開市場委員会(FOMC)のほぼ全メンバーが出席するほか、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の演説が24日に予定されている。トランプ米大統領がFRBによる利上げや、パウエル議長が期待していたほどハト派ではないと批判したことを受けたパウエル議長、また、FOMCメンバーの反応に焦点が集まる。
年次シンポジウムを主催しているカンザスシティー連銀のジョージ総裁はメディアインタビューで、トランプ大統領がが金利の上昇に不満を訴えていることに対し、自分の政策判断に影響することはないと表明。現政権が金利高に不満を表明することは異例ではなく、我々は経済の修正で、金利の上昇が必要になることを理解していると加えた。議会は中央銀行を考案した際、このような緊張を見込んで防火壁をつくり、中央銀行が独立機関として、政策を履行することを可能にしたと指摘した。
ジョージ総裁は2018年の国内総生産(GDP)で3%成長を予想。中立水準は2.5%から3%の間で、この水準に達するまで、あと数回の利上げが必要との見解を示した。また、米ダラス連銀のカプラン総裁もメディアのインタビューに応じ、「干渉なく、我々は決定を下す自信がある」と表明。FRBは中立水準を達成するため、利上げをすべきだと主張した。また、今後12カ月で、3回または、4回の利上げが好ましいとの見方。ただ、利回り曲線を逆転させることなく中立水準に達成することを期待していると、慎重な見方も示した。
トランプ大統領が着任して以来、FOMCはすでに25ベーシスポイントの利上げを5回実施している。もちろん、経済の改善に従ったものだが、今年はさらにあと2回の利上げが市場で織り込まれつつある。トランプ大統領がFRBの利上げを非難している背景として、中間選挙を控え、利上げの責任の所在を国民に明らかにすることが主目的だとの見方もある。パウエル議長も利上げ軌道を確認した場合、さらなるドルの支援材料となると見る。《CS》
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