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【スバル「LOVEキャンペーン」】アメリカで劇的躍進をもたらし、品質瓦解をもたらしもの(2)
■(3)「LOVEキャンペーン」こそスバリストを育てる
問題は(3)の「LOVEキャンペーン」だ。要するに、それはボランティア活動だ。小児がん治療などの医療、貧困による教育機会の不平等に対する支援、災害時の支援、さらには飼い主のいないペットの新規の親探しなど、社会全体に対するスバル・オーナーの寄付や、ボランティア活動の参加である。
【前回は】【スバル「LOVEキャンペーン」】アメリカで劇的躍進をもたらし、品質瓦解をもたらしもの(1)
原資は、スバル・オーナーからの寄付で、1台購入すると約2万7千円をディーラーが受付、スバル北米ディーラー協会が取りまとめて寄付するシステムだ。スバルユーザーで、仲間同士やディーラーとの調整などを行うボランティアが1万1千人程存在しているようだ。アンバサダーと呼ばれるボランティアがネットで自由に会話して、スバルの購入、使い方などの相談に乗っている。つまり、スバル車の販売の手助けとなっているのだ。
アンバサダーの活動は厳しく管理されており、毎月のレポートが必須になっている。一度でも提出しなければ、資格はく奪となるようだ。ご褒美は3カ月に1回、300ドルのアンバサダー向けグッズの購入権だけだ。それでも、スバリスト・アメリカの支援が大きいのだ。この仕組みは、60万台程度のメーカーとしては大変効果が大きいと推測される。固いユーザーに取り囲まれて、値引きが少なく10%近い高収益を上げている基礎となっている。
■営業とはファンを作るもの
物流では「ファンを作る」ことが、販売テクニックの基礎となる。しかし、日本の最近の販売方法では「無知に付け込む」ことを意識しすぎて、むしろ一時的な客としかなってくれない。米の「LOVEキャンペーン」のように、スバリストの集まりがメーカーのファンでなくてなんとする。日本国内でもスバリストを広げる努力をしないのは、スバルの怠慢だ。
この仕組みを企画し、運営している販売戦略は、偶然もあろうが大したものだ。しかしスバルが生まれた日本国内でこそ、若者のスバリストを作り出し、拡大していかねば「怠慢」と言うものだ。だから、スバル社内で北米販売部門の人物が出世しても不思議はない。だが、そこに落とし穴があったことは、現在スバル幹部にとって教訓となったことだろう。「品質保証」のメカニズムに経営者が疎かったことが見て取れる。日本市場では少しずつ販売が落ち込んでいくことになりかねない。
■まず初めに社員に「LOVEキャンペーン」を行う
スバル躍進の原動力は、北米市場での拡販だった。大きく貢献したと思われる「LOVEキャンペーン」の成功を、生産部門との連携のメカニズムに生かすことが出来れば、日本市場でも再度、市場の掘り起こしに成功出来るかもしれない。この人間の心理を理解できるのであれば、経営者は、生産工程の社員にも目を向けられるはずだ。排気ガスデータ、燃費データ改ざんがなぜ行われたのか?弁護士に社員からの「聞き取り」を任せるなど、とんでもないことが分かるはずだ。社員の気持ちになって、社内・社外の、アメリカ的ではなく日本社会に即した「LOVEキャンペーン」を行うことだ。販社の社員も含めて、社員から立ち上がれ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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