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ミドリムシ由来の物質、痩せるホルモンの分泌促進 メタボや糖尿病に効果か
産業技術総合研究所は21日、メタボリックシンドロームや糖尿病を改善させる可能性がある物質をミドリムシから製造したと発表。マウスに投与したところ、痩せる効果をもたらすホルモンの分泌を促すなど、確かな作用が認められたという。
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物質はパラミロンという名で、ミドリムシの細胞内に多く蓄積されており、簡単に抽出、精製できる。そのパラミロンを少し改変したカチオン化パラミロン誘導体を高脂肪食肥満モデルマウスに投与した結果、内蔵脂肪量の減少、体重増加の抑制効果が確認された。
また「痩せるホルモン」と呼ばれるホルモン、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の分泌を促す効果についても示唆されている。誘導体を与えたマウスにおいては、与えていない対照群と比較して3倍多いGLP-1が分泌された。
メタボリックシンドロームは内臓脂肪型肥満、さらに高血圧、高血糖、脂質異常症がみられる状態であり、糖尿病などを引き起こす要因になる。対してGLP-1には、インスリンの分泌を促す、食欲を抑えるなど、多くの抗メタボリックシンドローム作用がある。
インスリンは血糖値を低下させる作用をもつホルモンだが、肥満などのためインスリンが効きづらくなってしまう時もある。GLP-1の分泌促進により、このインスリン分泌の問題、さらにはメタボや糖尿病を改善させる可能性が示されたのである。
産総研はこれまでにもパラミロンを原料とする素材開発などを行ってきた。今回は医療関係の知識と技術を有する会社・アルチザンラボとミドリムシの大量培養技術を有する会社・神鋼環境ソリューションと共同で、メタボや糖尿病を改善させる物質の開発とその薬効評価を行った。
今後はそのメカニズムの解明などを目的に、研究機関や企業を含めた研究開発体制の構築に取り組む予定だ。(記事:小椋恒示・記事一覧を見る)
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