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遺伝子操作によりアルツハイマー病を予防できるか - 理研の研究
遺伝子を操作する技術、ゲノム編集を用いた実験により、アルツハイマー病の発症の原因となるアミロイドβペプチド(アミロイドβ)の蓄積を抑制する遺伝的な欠失のパターンが発見された。
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発見したのは、理化学研究所脳神経科学研究センター、神経老化制御研究チーム。
アルツハイマー型認知症は、認知症の約40~60%を占めており、有効的な予防、治療法が急がれている病気の一つである。
厚生労働省の発表では、2012年の認知症高齢者は約462万人。予備軍も約400万人にいるとされている。近年では若年性アルツハイマー認知症の存在も認められている。
研究チームは、2014年に成功させたヒト患者脳と類似性が高い次世代型ADモデルマウスを使い、受精卵の非翻訳領域(遺伝子配列の中でメッセンジャーRNA[mRNA]に転写されるが、タンパク質には翻訳されない領域)のうち700塩基をゲノム編集技術によって欠失させた。
その結果、脳内のアミロイドβの蓄積が抑制されていることが判明。さらに研究を進めたところ、ゲノム編集の効率に応じて、アミロイドβが作られる量が下がっていることを突き止めた。
このことから、欠失させた遺伝子領域でアミロイドβの元となるアミロイド前駆体タンパク質(APP)の発現量を調節していることが判明した。
そこで欠失させる遺伝子領域を短くし、約400塩基を欠失させた場合でも、アミロイドβの作られる量が下がっていた。最終的には、34塩基を欠損させただけで同様の現象が起こるとろまで、突き止めることができた。
結果、34塩基がアミロイドβの蓄積の抑制に重要な役割を果たしていることが判明したのである。
理研では、『ゲノム編集の対象にした非翻訳領域はマウス・ヒト間で配列の類似性が高いため、今回の結果はヒト集団における実際の保護的変異の同定につながる可能性がある』とし、今後については、『アルツハイマー病においても保護的変異の同定をきっかけとし、新しい核酸医薬などの予防的治療法の開発につながる』と期待している。(記事:和田光生・記事一覧を見る)
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