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「先物取引」とは?初心者にもやさしい入門講座!(5)金の取引(三井智映子)
*17:24JST 「先物取引」とは?初心者にもやさしい入門講座!(5)金の取引(三井智映子)
こんにちは!フィスコマーケットレポーターの三井智映子です。
皆さんは金というとどういうイメージでしょうか?貴金属として価値があるとか、純金積立や実物資産というイメージが強いのではないでしょうか。またインド人や中国人が好きなもの、というイメージがある方もいるかもしれません。
金についても、先物取引ができることはご存知でしたか?今日は金の先物取引についてお伝えしたいと思います。
金の先物取引は日本では東京商品取引所(TOCOM)で行われ、商品先物会社を通して投資家は取引を行います。TOCOMに上場されている金は純度99.99%以上の金地金(きんじがね)が対象で、標準取引の1枚の単位は1kgとなっています。ですが、価格の表示=呼値は1gあたりの価格が表示され、取引単位である1枚の倍率は1000倍となっていますので注意してください。
金の延べ棒や金貨などの実物を保有すると保管料や盗難リスクがありますが、先物ではその心配がありません。また、レバレッジをかけられることも先物取引のメリットといえます。
では実際に金の先物取引をする場合を、具体例で説明しますね。
金先物取引は現物の受渡しを伴う受渡決済と現物の受渡しを伴わない差金決済のいずれかを選ぶことができます。
例えば東京金の価格が1g=4500円だった場合、一枚の取引額は450万円です。金地金を1kg=450万円で買う金先物取引をした場合、6カ月後に金価格が1kg=500万円に上がると50万円の利益が出ます。
受渡決済の場合は現金450万円で金地金500万円分を受けとります。しかしかなり手数料がかかるので受渡決済をする投資家は少数派です。
多数派は差金決済で、期日に反対売買で金地金を売って、差額分を現金で受け取ります。
先物取引で利益を得るためには価格変動要因…どういう時に価格が動くのか知る必要がありますよね。大きく分けて3つの要因として、需給バランス、米ドルのヘッジ需要、地政学リスク、があると思いますので押さえておいてくださいね。
○需給バランス
金は昔から「有事の金買い」と言われるように有事に強く、安全資産といわれています。リスクオフ時に買われ金価格が上昇する傾向がありますが、世界規模で景気が改善しリスクオンになると株などに資金が流れ、価格は下がることがあります。ほかに金鉱山の生産量やスクラップ回収量、宝飾や工業品需要の増減、各国中央銀行の売買動向にも左右されます。インドの結婚やヒンズー教のフェスティバルでも需要が増えます。
○米ドルのヘッジ先
金は原油と同様に、金融緩和やドル安でも価格が変動します。ドルと金価格は逆相関性があると言われます。その他、米金利などに影響されます。
○地政学リスク
テロや戦争、国の財政破綻、災害など市場の嫌う「○○ショック」や「先行き不透明感」などで株式などが売られると金価格は上がりがち。投資マネーのヘッジ先とも言われますね。また金はインフレのヘッジにも有効であるとと言われます。
これを踏まえて実際に今の値動きはどうなっているかというと、足元ではNYダウをはじめ世界各国で株高となっていることや世界的に経済状況が良いこと、米国企業利益の好調などからリスクオンの流れが強まっています。つまり需給バランスで見ると金価格が下がる状況です。
米ドルが買われていてアメリカ経済が強いという状況も、金が売られやすい要因となります。また中東や北朝鮮などでの地政学リスクが一時より和らいでいることもあり、金価格は下落基調にあります。
NY金におけるファンドの買い越し枚数が高水準であることもあり、金相場に対しては弱気な見方も一考かもしれません。
金の先物取引について具体的なイメージを持っていただけましたか?これからもご一緒に先物取引の基本を学んでまいりましょう!
“「先物取引」とは?初心者にもやさしい入門講座!”は、商品先物取引の基礎をフィスコの見解でコメントしています。
フィスコマーケットレポーター 三井智映子《HT》
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