IT人材不足、2030年には約59万人 17年の約3.5倍に

2017年11月8日 07:23

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記事提供元:エコノミックニュース

IT人材の不足規模については、2015年時点で約17万人のIT人材が不足しており、IT人材不足は今後ますます深刻化、2030年には、(中位シナリオの場合で)約59万人程度まで人材の不足規模が拡大するとの推計結果が得られた。

IT人材の不足規模については、2015年時点で約17万人のIT人材が不足しており、IT人材不足は今後ますます深刻化、2030年には、(中位シナリオの場合で)約59万人程度まで人材の不足規模が拡大するとの推計結果が得られた。[写真拡大]

 ITは今後も日本における産業の成長にとって重要な役割を担うことが強く期待されており、十分なIT人材を確保することは、これまで同様、今後もきわめて重要な課題であるといえる。こうした問題意識のもと、経済産業省は「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」を取りまとめた。本調査では、IT人材の中長期的な需給動向を展望するとともに、今後のIT人材の確保・育成に向けた方策についての検討を行った。

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 実施の背景には、2010年代の後半から2020年にかけて産業界で大型のIT関連投資が続くことや、昨今の情報セキュリティ等に対するニーズの増大を契機に、IT人材の不足が改めて課題となっていることなどが挙げられる。また、ビッグデータやIoT等、近年高い注目を集めている先端的な技術・サービスの登場により、今後ますますIT利活用の高度化・多様化が進展することが予想され、中長期的にもITに対する需要は引き続き増加する可能性が高いと見込まれている。

 しかし、日本の労働人口(特に若年人口)は減少が見込まれており、今後、IT人材の獲得は現在以上に難しくなると考えられている。IT需要が拡大する一方で、国内の人材供給力が低下し、IT人材不足は今後より一層深刻化する可能性が指摘されている。

 マクロ推計結果によれば、我が国の人口減少に伴って、2019年をピークにIT関連産業への入職者は退職者を下回り、産業人口は減少に向かうと予想される。また、IT関連産業従事者の平均年齢は2030年まで上昇の一途をたどり、産業全体としての高齢化も進むことも把握された。IT人材の不足規模については、2015年時点で約17万人のIT人材が不足しているという結果になり、IT人材不足は今後ますます深刻化、2030年には、(中位シナリオの場合で)約59万人程度まで人材の不足規模が拡大するとの推計結果が得られた。

 他国との比較で考えた場合、米国IT企業の高い競争力は、優秀なITエンジニアに対する高い処遇を可能にし、定着化させる要因の一つとなっている。その為には、産業の競争力強化という根本的な課題の解決が必要となる。高い競争力を実現していくためには、新たな領域への挑戦と勝利、また、それを可能にした革新的な発想力と高い技術力、そして未知の市場への挑戦意欲が求められる。日本においては、国内のIT関連産業で活躍する個人が持つ“挑戦意欲”を、企業がいかに引き出し、産業全体としての競争力に結び付けていくかが、今後の我が国の企業や政府にとっての重要な課題である。(編集担当:久保田雄城)

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