コンビニの買物カゴはなぜ飲料売場の横にもあるのか

2017年10月15日 15:54

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 コンビニエンスストアの買物カゴは当初、入口付近のみに設置されていましたが、いつの間にか店内、特に飲料売場付近にも買物カゴ置場が設置されています。どうしてでしょうか?

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●コンビニエンスストアの顧客はほとんど買物カゴを持たないで入店する

 コンビニエンスストアの店内の買物客は90%近くの人が買物カゴを持たずに入店しています。この現象はビジネス立地、住宅街立地等立地に関係なく共通しています。

 この理由は買う目的商品が明確なためです。その商品は何かと言うとお別当、おにぎり、麺類、サンドイッチ等の即食品とお茶、コーヒー、炭酸等の飲料品です。この二つをセット買いするのです。

 ある時、こんな買物客がいました。買物カゴを持たずに入店した20代の女性がお弁当を右手に持ち、飲料売場へ行きました。リーチインの扉を左手で開け、左手でお茶を一本取り出しました。右手にお弁当、左手にお茶を持ってサラダコーナーの方へ歩き出しました。サラダコーナーの前でお弁当の上にお茶を乗せ、サラダを取ろうとしたら、お茶がお別当の上から転げ落ちてしまいました。

 この現象はコンビニエンスストアの顧客の象徴的な動きです。コンビニエンスストアの顧客は買物カゴを持ちません。買う目的商品は即食品と飲料品の二つです。買物カゴを持っていないため、両手は塞がっています。もう一品買おうとすると買い辛いのです。

●飲料売場付近に買物カゴ置場を設置した意味

 コンビニエンスストアの顧客が買物カゴを持たないで入店することは、二品しか買えないことを意味しているのです。コンビニエンスストア側から言うと二品しか販売できないのです。

 コンビニエンスストアの経営母体は殆ど場合量販店チェーンです。その経験から買物カゴは入口付近設置することが正しいと思い込んでいました。しかし、量販店とコンビニエンスストアでは顧客の買物の仕方が違うことに気が付き始めたのです。

 『両手が塞がっているため買物し辛い』と顧客が実感する飲料売場付近に買物カゴ置場を設置しました。そうすることで、もう一品買い易くしたのです。コンビニエンスストアはもう一品多く販売したくて、飲料売場付近に買物カゴ置場を設置したのでした。

 いつも二品買っている顧客が三品買ってくれたら、コンビニエンスストア側は嬉しいですね。皆さんはコンビニエンスストアの作戦に乗っていますか?(記事:KMAきむらマーケティング&マネジメント研究所 木村博・記事一覧を見る

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