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米国税制改革には警戒感も PCEコアデフレーター発表 9月29日のドル円為替
年内の追加利上げ観測は高まっているものの、トランプ大統領が掲げる大規模な税制改革に対しては厳しい見方が多くなってきた。財源となるオバマケア修正法案の成立に難航していることが、税制改革によって財政赤字の拡大につながるのではないかと懸念されている。
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12月の追加利上げだけではなく、税制改革に伴い来年3月の利上げの可能性も高まってきている。これはドル買いの大きな材料だ。北朝鮮と米国の緊張感も続く中だがドルが堅調な理由はここにあるだろう。9月28日は1:30(すべて日本時間)ごろには1ドル112円37銭だったが、15:00には1ドル113円21銭の上値をつけている。
トランプ大統領は法人税率を大幅に引き下げ、海外にある米国企業の収益を自国に取り戻したい思惑だが、減税分の穴埋めの見通しがたっていない。当初の予定ではオバマケア修正法案によって財源を確保する予定だったが、こちらの成立は難航しており、税制改革によって活性化される米国経済の収益で賄う見込みになってきている。ムニューシン財務長官は年率3%の成長を見込んでいると発表した。実現できれば、2兆ドルという大規模な成長が財源となりえるだろう。トランプ大統領は年率6%の成長が可能だと主張している。しかし先行きの不透明感はぬぐえない。財政赤字が拡大するおそれもあるのだ。警戒感が広がり、ドル売りの動きが強まった。
21:30には第2四半期GDP確定値が発表となり、+3.0%から+3.1%に上方修正された。8月卸売在庫速報値も+1.0%と事前予想の+0.4%を上回ってきている。ハリケーンの影響が懸念されていた前週分の新規失業保険申請件数だが、事前予想の27.0万件をわずかに上回る27.2万件であった。そこまで悪くはない経済指標ではあったが、税制改革への懐疑的な流れに押され、ドル売りは加速し、日付の変わった29日5:40ごろには1ドル112円25銭の下値をつけた。
本日は21:30から8月個人消費支出(PCE)の発表がある。年内の追加利上げの可能性を高めることができるのか注目したい。(記事:ろひもと理穂・記事一覧を見る)
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