イオン、2020年3月までに象牙製品の取り扱いを停止すると発表

2017年9月6日 07:23

印刷

アフリカ・ケニアの国立公園の象。

アフリカ・ケニアの国立公園の象。[写真拡大]

 イオンは、象牙を使用した製品について、2020年3月までに一切の取り扱いをやめると発表した。

【こちらも】中国、象牙取引を全面禁止へ 日本の今後は?

 イオン直営売り場での象牙製品の取り扱いは、既に2015年6月に中止となっている。今後、イオングループの商業施設内におけるテナント各社が順次対応を進め、代替素材への切り替えを行い、2020年3月末を目途として象牙製品の取り扱いを停止する。

 2016年、ワシントン条約締約国会議において、アフリカゾウの密猟や違法取引の一因となるような象牙市場が存在する場合、それを閉鎖するよう求める、という旨の決議が行われた。

 ちなみに世界自然保護基金(WWF)の2013年のデータによれば、象牙の取引の市場規模ランキングにおいて、世界第1位を占めるのは中国である(2位はアメリカ、日本は10位)が、中国は今年、2017年をもって国内における象牙の加工・販売を禁止、象牙取引市場を全面閉鎖することを既に決定している。

 日本では、象牙は特に印章(判子)の素材として古くから珍重されている。象牙の取引は「絶滅のおそれのある野生動物の種の保存に関する法律(種の保存法)」に基づいて、国による管理制度が敷かれ、その上で行われている建前となっているが、実際には、密輸品の違法な象牙が横行している状況にあることがWWFなどによって指摘されているところである。

 日本政府(環境省や経済産業省)は、象牙取引に関するルール(合法的に輸入された象牙のみを利用する、という内容のもの)を守り、適正に象牙を利用しようと呼びかけるのみで、象牙取引全面禁止に関しては及び腰だ。また、日本の経済界も概して消極的である。

 だが、今回、年間売上高約8兆円(2016年)を誇る国内でも大手の小売であるイオンが、象牙の全面禁止に手を挙げたことは、大きく意義があるといえるだろう。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事