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改めて知る「音楽」の効果 USENとカラオケの新市場開拓から考察
有線放送大手のUSENが、オフィス向けに音楽の配信を開始したのは2013年。「社員のストレス解消」効果などを意図したものだった。15年12月に「社員のストレスチェック」が義務付けられたことや、現政権が昨年「働き方改革」を打ち出したことが背中を押したのか、導入企業が相次いでいるという。
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USENによると現状では3年前に比べ導入する企業は「月平均で約4倍に増えている」という。100を超えるチャンネルが用意されており、中には「退社」を促すことを狙った「別れのワルツ」や「家路」なども含まれているとのこと。そして音楽が、想定外の効果を結果的にもたらすケースも少なくないという。
例えば2×4工法で知られる三井ホームでは社員の士気の向上を図る意味でボクシング映画「ロッキー」のテーマ曲を各課の終礼の合図として流したところ、「残業時間が2-3割減少した」というのである。音楽の持つ思わぬ効能を知らされる。
同じ音楽絡みでは、業務用通信カラオケ(「DAM」)で業界首位の第一興商ではこんな意外な市場を開拓している。介護関連施設である。進出は01年。独自開発の『DKエルダーシステム』が武器。同社の広報担当者は「歌や音楽、カラオケの力を活用して“運動・口腔・認知”など生活機能の維持・改善を支援する意味で開発した」と振り返った後、その効果を具体的にこう語った。
「施設の仲間と一緒に歌うことで心の元気を取り戻す。音楽をリズムにすることで体を楽に動かすことができるようになる。歌詞が流れる懐かしい映像を観ることで認知症の予防につながるなどの役割も果たしている。」
単なるセールストークでないことは、既に1万9,000カ所以上の施設に導入されている事実からも明らか。また同社ではいま各地の市町村から「介護予防事業」を受託し、高齢者向け健康教室を展開している。日本音楽健康協会が認定する「音楽健康指導士」がインストラクターになりDKエルダーシステムを活かした音楽健康セッションを行っているのである。
音楽が果たす役割は、なかなか深いものであるようだ。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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