経済指標がポジティブサプライズで円安ドル高に、8月16日のドル円為替

2017年8月16日 15:47

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 朝鮮半島の地政学リスクが急激に高まり、市場ではリスクオフの動きが加速した。しかし、ここにきて米国・北朝鮮ともに落ち着きを取り戻し、続いていたドル売りの流れが変わってきている。さらに経済指標でもポジティブサプライズが起こり、ドル買いの大きな材料となった。

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 8月15日は、6:00(すべて日本時間)ごろに1ドル109円60銭の下値をつけたが、それ以降は、北朝鮮のグアムへのミサイル発射計画が中止になったという報道を受けてリスクオンの傾向が強まった。110円を割ることなく上昇を続け、21:30に小売売上高とニューヨーク連銀製造業景気指数が発表になると、1ドル110円36銭から1ドル110円85銭まで急激にドル高となっている。内容としては、7月小売売上高が+0.6%と事前予想の+0.3%を大きく上回った。さらにニューヨーク連銀製造業景気指数が25.7と事前予想の10.0、前月の9.8を大きく上回り、約3年ぶりとなる高水準をマークした。

 重要経済指標の好調ぶりに押されて10年債利回りも上昇。7月の小売売上高は確かに期待されてはいたが、その期待を超える結果であった。このことで、年内の追加利上げ観測も高まってきている。金利先物市場での12月追加利上げの確率は20%台まで下がっていたが、ここにきて40%台を取り戻してきている。

 本日は21:30から住宅着工件数、建設許可件数が発表となる。23:30には週間原油在庫の発表だ。しかし一番重要視されているのは、日付の変わった17日3:00に公表されるFOMC議事要旨の内容である。バランスシート縮小開始時期や年内追加利上げについて触れられるだろう。そちらが完全に織り込み済みとなればドルの下値は限定的となり、さらなる円安ドル高となっていくことになる。今晩のFOMC議事要旨は注目である。

 朝鮮半島の地政学リスクが低くなっているとはいえ、依然として警戒が必要なレベルだ。有事に備えるリスク管理は必要となってくるだろう。ロシアゲート疑惑の解決がまったく進展していないことも忘れてはいけない。(記事:ろひもと理穂・記事一覧を見る

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