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F1並みの切磋琢磨でAIの能力向上に賭ける ロボカー発進(中)
「ロボカー」(写真: Roboraceの発表資料より)[写真拡大]
(上から続く)また、車両が自力で走行するためにレーザー5台、レーダー2台、超音波センサー18台、光学式スピードセンサー2台、AIカメラ6台、全地球航法衛星測位システム(GNSS)、エヌビディア(NVIDIA)製のAI車載コンピューティングプラットフォームNVIDIA DRIVE PX2を搭載している。
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さらに車両を制御するためのCPUも搭載され、その処理能力は超ド級で24兆Flops(1秒間に24兆回の演算を行う)を誇り、MacBook Pro150台分の処理能力に匹敵することになる。このCPUの開発に巨大半導体メーカーのNVIDIAが公式パートナーとなった。また、緊急時には外部からリモートコントロールが出来るようになっている。
NVIDIAの担当マネージャーは、「ロボレースとNVIDIAは、乗客やクルマにとってより安全な学習システムの開発を加速するために、努力している」と語った。
ミシュランはシリーズの公式タイヤパートナーとして、ロボレースのプラットフォームを利用し、「AI+EV」の車両による負荷や速度に十分対応する、次世代のロードタイヤを開発していく予定だ。
今年初めて開催されるロボレースは、世界初の自動運転車による選手権で、FIA(国際自動車連盟)が統括するフォーミュラE(FE)のサポートレースとして開催される。
自動運転車で争われるロボレースは、既に多くの関心を集め、エントリーを希望しているチームは100を超えているという。
ところで、ロボレース誕生のもととなったFEに大きな動きが顕在化してきた。既にFEには高級車ブランドのBMW、アウディの独勢や英ジャガー・ランドローバー(JLR)が進出していたが、F1の雄である独ダイムラーが、2019~20年シーズンからフォーミュラEにも参戦することが6月24日発表されたのだ。更には、EVへのシフトを鮮明にしたボルボ・カーの参戦も噂されている。そうなると、世界の高級車ブランドの売上高上位6社のうちトヨタ「レクサス」の動向に注目が集まるのは当然である。
さらに、ポルシェが自動車の世界耐久選手権(WEC)の最上位クラス「LMP1」から今季限りで撤退し、FEに転戦することが決定した。このクラスはハイブリッド車で競われてきたが、参戦している自動車メーカーはポルシェとトヨタの2社なので、次回の「ルマン24時間」へ参戦するのが、トップクラスではトヨタだけになってしまう恐れが出てきた。ポルシェは「ルマン24時間」3連覇の栄誉を掲げてFEへ転戦し、打倒ポルシェに向かって努力を傾注していたトヨタは梯子を外されるようなものだ。
(下へ続く)(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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