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トヨタ世界3位に転落も、輸出台数6%増で国内に貢献 5年ぶり上期増
トヨタ「RAV4」。(写真: トヨタの発表資料より)[写真拡大]
トヨタ自動車は、2017年上半期(1~6月)の世界販売が前年同期比2.7%増で上半期としては過去最高だったが、日産自動車・三菱自動車・ルノー連合、ドイツVWに次ぐ、世界3位に転落した。トヨタが世界3位に下るのは6年ぶりだ。加えて、2017年上半期(1~6月)の輸出台数は前年同期比6%増で、上期で前年を上回ったのは5年ぶりである。
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■世界販売の順位は結果に過ぎない?
トヨタの国内販売は9.4%増で、3年ぶりに前年実績を上回っているし、海外販売は0.8%増で2年ぶりに増加、上半期では過去最高だった。地域別販売台数を見ると、中国では高級ブランド「レクサス」が好調で5.4%増だったが、米国では3.6%減となっており、車種戦略の誤りがあったのだろうか?シェア1位は取れなかったが、全体に販売台数は増加している。
一方、輸出台数では、主力の北米向けは4%増だった。ガソリン価格が下落するとアメリカ人気質による大型車回帰がある中でも、SUVの「RAV4」が輸出台数を伸ばした。やがては現地生産する「新型カムリ」も、現在は国内生産からの輸出となっている。
アジアへの輸出台数は16%増で、その中でも伸びが著しかったのは中国の28%増と大きい。やはり「レクサス」のSUVやセダンが堅調のようである。
その次に輸出台数で多かったのは欧州。これも2%増の伸びで、それまでの中近東の台数を6年ぶりに上回っている。こちらもSUV「RAV4」のハイブリッドが堅調に推移しているようである。
■経営戦略「完成車の輸出増は国内にプラスになる」
7月28日の決算会見でトヨタの幹部は、「完成車の輸出が増えれば国内での事業にプラスになる」と言及した。トヨタの明確な戦略である。
世界ではシェアを落としてしまった結果だが、経営者としては多少の浮き沈みがあっても維持を守っていくことが大事である。ましてや、不正を起こしても平然としていられる企業では良くない。ディーゼルエンジン排ガス不正で、自動車業界史上最大の不正問題を起こしたVWだが、十分な調査結果を報告しないまま黒字回復をし、トヨタを抜き去ったのにはどうしても合点がいかない。企業としての「社会的責任」を果たしていないままである。
一方トヨタは、大震災で多大な被害を被った東北に一大拠点を構築して、復興に役立てようとしたり、国内生産300万台にこだわっていたりと、国内の経済効果にも配慮しているのがうかがえる。それが正常な企業としての社会的責任であろう。国内の販売数は増加、輸出台数も増加など、その結果が今回の数字にも表れているのではないだろうか。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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