サッカーU‐20W杯韓国大会、日本戦だけでない魅力 各国の戦い方は?

2017年5月24日 11:52

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 20日に開幕したサッカーU‐20世界選手権は連日、熱い戦いが続いている。

【代表メンバーは】サッカーU‐20W杯・日本代表メンバー決定、15歳の久保建英が選出

 日本代表チームはグループリーグ初戦、南アフリカを相手に先制を許すも、エースストライカー・小川航基、堂安律のゴール、そして驚異の15歳、久保建英の堂々たる活躍もあって逆転での勝利を収め、日本国内のサポーターも初戦から一気に盛り上がりをみせている。

 そしてもちろん、熱さを増しているのは日本だけではない。現地では各競技場で若きナショナルチーム同士の戦いが行われており、そこには試合内容も去ることながら、それぞれの国が表現するサッカーの醍醐味が味わえる。

■各大陸、際立つ戦い方の違い

 日本対南アフリカ戦の1時間後に水原ワールドカップスタジアムで行われた同グループのイタリア対ウルグアイ。

 ワン・ツーや細かいパス、そして一対一を存分に挑み、個人技を中心に攻撃を仕掛けるウルグアイに対し、フィールドプレーヤー8人で守備を固めるイタリア。前半を通してウルグアイが攻め続けるも、イタリア守備陣は網に引っ掛けるがごとくボールを奪い続け、さらにGKのアンドレア・ザッカーニョがPK阻止するなど再三にわたりビッグセーブを連発しゴールを割らせない。またイタリアはチャンスとみるや、2~3本ほどの長いパスを繋ぎ一気のカウンターを狙う。後半、途中出場のウルグアイ背番号10、ロナルド・アマラルの直接フリーキックが決まり1対0でウルグアイが辛くも勝利したものの、ゲームを終始支配したのは「カテナチオ」の国・イタリアの好守だった。

 翌日のグループF、仁川スタジアムでの壮絶な点の取り合いとなったエクアドル対アメリカ戦はスポーツ大国アメリカの気迫を思い知らされることに。

 開始早々エクアドルは背番号10、A代表でも活躍するブライアン・カベザスにボールを集め左サイドを突破しアメリカディフェンスを早々に攻略、序盤で2点をリード。アメリカは後半になんとか追いつくも、そのすぐ後に3失点目を喫し劣勢のまま最終盤を迎える。それでも、イングランドサッカーの流れを汲む徹底したサイドからのクロスボールでの攻撃を繰り返し、さらにはスタンドから送られる「U・S・A!」大合唱のコールの後押しも受けて、後半ロスタイム、クロスボールのこぼれ球をMFデ・ラ・トーレが押し込み土壇場での同点弾。

 熱狂するスタンドのアメリカサポーター、そして選手、スタッフ全員が抱き合い一つの塊となって喜びを爆発させ、あたかも優勝したかのようなシーン。まさにアメリカチームの執念と観客の大声援の中で繰り広げられた劇的な結末により、スタジアム全体は異様な熱気に包まれることとなった。

■目が離せない、今後の戦い

 イタリア対ウルグアイ、アメリカ対エクアドルとも、それぞれの国が長きにわたり築いてきた、サッカースタイルが十分に発揮された内容となった。因みにイタリア対ウルグアイ戦では、試合前のピッチ上でのアップでもウルグアイはステップを踏みながらのダッシュや狭いスペースでの細かいパス回し、イタリアはロングキックに時間の殆どを費やしてたことも非常に興味深い。

 他にも、セネガルが2対0でサウジアラビアを降した試合はセネガルの2得点ともバウンドしたボールを身体能力の高さからの鮮やかなボレーで叩きつけ、セネガルがテクニックで対抗するサウジを一蹴したゲームとなるなど、フル代表にも勝るとも劣らない力強さも感じられた。

 グループリーグ初戦ですでに十分すぎる程、サッカーの、フットボールの魅力が堪能できる今回のU-20FIFAワールドカップ韓国大会。U-20といえども侮るなかれ、いや、ユース年代だからこそ余すことなくのびのびとした、世界中のフットボーラーの極上の技術が披露されるとも言えるだろう。

 そして我々はその妙技から目が離せない。大会はまだ始まったばかりだ。(記事:佐藤文孝・記事一覧を見る

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