東芝メディカル、高性能な臨床化学自動分析装置「Accute RX」を発売

2017年5月22日 19:15

印刷

Accute RX(東芝メディカルシステムズの発表資料より)

Accute RX(東芝メディカルシステムズの発表資料より)[写真拡大]

 東芝メディカルシステムズは高性能な臨床化学自動分析装置「Accute RX」を22日に発売した。中小規模施設にはメイン装置として、サテライトラボや大規模施設にはバックアップ用途として新製品を展開していく。新製品はこれまで約2500台の実績を積んだAccute(アキュート)の後継機として、上位機種で培った技術を新たに採用。前モデル同様のコンパクトさは維持しながら、高級機並みの豊富な機能を搭載している。

【こちらも】東芝メディカル、インフルエンザを簡単迅速に検査できるシステム発売

 臨床化学自動分析装置は血液や尿などに含まれるコレステロールなど生化学成分を測定する装置である。近年は病院内の検体検査部門や施設において、検査の質を保ちつつ、業務の効率化と検査コストの低減が求められていた。新製品により検査コストの多くを占めていた試薬ランニングコストの低減が実現、現場のニーズに応えることが期待されている。

 製品の特徴としては、エラーを早期に検知することで検査時間の短縮が実現されたほか、サンプリング順を自動で最適化するなど検査効率も向上した。また故障時もリモートメンテナンスにより遠隔からサポート。顧客の装置とテクニカルコールセンターをネット回線で接続することでエラーメッセージや稼働状況などを監視する。

 東芝メディカルは16年3月までは東芝グループであったが、同年12月にキヤノンの子会社となった。医療機器メーカーとしてCT、MRIを始めとする画像診断装置をメインに、電子カルテや検体検査装置まで数多くの医療機器を展開している。画像診断装置のシェアは世界4位を誇る日本のリーディングカンパニーである。

 不適切会計によって現在瀕死の状態にある東芝内では超優良企業として虎の子の存在だった。売却先の行方はメディアでも話題になったが、結果16年にキヤノンが6600億円で買収。2018年初頭をメドに名称も「キヤノンメディカルシステムズ」に変更する。キヤノンが長年培ってきた精密設計、精密組立などの生産技術と、東芝メディカルが100年以上の歴史のなかで築いてきた営業網などによる相乗効果が期待されている。

 キヤノンも15年に米国子会社「キヤノンバイオメディカル」を設立。遺伝子検査を中心とした検体検査事業などにも注力していた。今後はバイオメディカル分野の医療機器化を始め、東芝メディカルの販売チャネルを生かした事業化にも邁進するようだ。キヤノン傘下にある東芝メディカルの動きには今後も注目である。

関連キーワード

関連記事