米、日本製鉄鋼に制裁関税、ダンピングと認定

2017年5月7日 13:33

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自動車産業向けの鋼材。

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 アメリカの政府機関の一つである国際貿易委員会(ITC)は5日、日本をはじめとする8つの国と地域が鉄鋼製品の一つである炭素合金鋼を米国に不当に安く輸出している(つまり、ダンピングを行った)と最終認定した。これを受け、アメリカ政府はこれらの国々からの輸入鉄鋼について、反ダンピング関税を正式に課税する。トランプ政権発足以降でいえば、日本に対する制裁関税が適用されるのは初となる。

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 ダンピング、日本語では不当廉売とは、その言葉の通り不当に安い価格で商品を販売し、シェアの拡大、ライバル企業の駆逐などを図る不正のことである。国際貿易におけるダンピングの定義は複雑であるが、国内価格よりも安い価格で国外に販売するだけでもダンピングと認定されることがある。

 対象の国と地域は、日本、台湾、韓国、オーストリア、ベルギー、フランス、ドイツ、イタリアである。制裁税率は、JFEスチールの製品などが48.67%、東京製鉄などが14.79%、もっとも高いところでは148.02%。韓国製品については、輸出補助金を受けていると認定されたため、さらに4.31%の相殺関税も課せられる。

 ちなみに現在、アメリカの対日赤字はかなり深刻に悪化している。この3月の貿易統計を受け、ロス米商務長官は「アメリカは、もはやこの膨張した貿易赤字に耐えられない」と表明。日本を名指しで批判し、不均衡の是正を目指し、2国間の協議に圧力をかけている。

 ちなみに具合的金額は、3月の赤字額、72億ドル(約8,100億円)である。この額は9年ぶりの深刻な高水準となる。

 ただし、鉄鋼のダンピング認定が行われたのは、このような貿易不均衡の克明化を受けてのことではなく、そもそもこれは前政権、オバマ大統領の任期中の2016年4月、アメリカの鉄鋼メーカーが政府に日本などのダンピングを訴え、対抗措置を求めていたことからこのような結果に至ったものである。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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