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認知機能は50歳ごろから低下、「短期記憶」や「注意力」でより顕著に
認知症の前段階とされる軽度認知障害(MCI)では、早期発見により対策を講じることが重要とされる。MCIは放置することで年間10~15%、5年間では50%で認知症に移行するとされている。日本に862万人いるといわれるMCIだが、日常生活にほとんど支障がなく、認知機能は全般として正常に機能していることから発見が難しい。こうしたことから、早期発見のための取り組みが進められている。介護事業における情報インフラサービス提供のエス・エム・エスは認知症専門サイト「認知症ねっと」にてMCI早期発見に役立つ「認知機能チェック」ツールを公開している。今回同社は、蓄積した受験結果をもとに認知機能の傾向を分析しレポートを発表した。
認知症チェックでは、認知機能を「記憶力」「計算力」「言語能力」「遂行力」「判断力」の5つに分類。問題を解くことでそれぞれを計測する。分析結果の結果、認知機能は40歳ごろまで緩やかな上昇傾向にあり、50歳ごろから低下が始まることが明らかになった。5つの認知機能のなかでは「遂行力」「計算力」がより早期に低下するのに対して「言語能力」については70歳ごろまで緩やかな低下にとどまる。「記憶力」では「短期記憶(ワーキングメモリ)」「遅延再生」の機能が50歳ごろから低下、60歳ごろから低下速度が加速する。これに対して「エピソード記憶」は70歳ごろまで緩やかな低下にとどまる。また、「判断力」は55歳ごろから低下が認められ、なかでも「注意力」が比較的早期から大きく低下することがわかった。
一般的に認知機能の低下として記憶力の早期からの低下が問題視されるが、今回の調査により認知機能のより高次な部分「遂行力」「判断力」(特に注意力)といったものの早期低下が確認された。このことよりMCIの発症は記憶力低下が現れる以前より傾向が現れており、認知機能の低下から発生する高齢ドライバーによる自動車事故などは、より早期からの注意が必要なことになる。MCIの予防策にはそれぞれの認知機能を保つためのトレーニングがあるが、「記憶力」よりも早期に「遂行力」や「判断力」を維持するためのトレーニングを開始することの重要性が示された。認知機能の低下傾向に関して応用研究を進めることにより、より早い段階でのMCI発見手法の確立に期待される。(編集担当:久保田雄城)
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