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電力市場が全面自由化、16年度販売量は前年比56.3%増の628.7億kWh見込み
電力の小売りは、2000年4月の特別高圧施設の自由化に始まり、2004年4月の高圧500kW以上の自由化を経て、2005年4月に高圧全面自由化となった。2016年4月には低圧分野が自由化され、電力市場の全面自由化が実現した。
富士経済は、主に電力市場における小売電気事業者(新電力)、ガス市場における新規参入事業者各社の事業実績を集計・分析し、エネルギー自由化市場の全体像と将来動向を明らかにした。
それによると、2016年度は全面自由化によりガス事業者や通信事業者を中心とする低圧家庭分野の新規獲得に加え、既存の特別高圧/高圧分野需要家が保有する低圧契約施設向けの販売も増えている。また、全面自由化に伴う認知度向上により、これまで電力会社の切り替えに感心のなかった高圧小口需要家の獲得も急増している。2016年度の販売電力量は2015年度比56.3%増の628.7億kWhが見込まれる。2020年度は2015年度比2.8倍の1,123.0億kWhが予測されるとしている。
電源開発では新電力や関連会社による出力10万kW規模の大型火力発電所建設計画が相次いで発表されている。ベース電源としての活用が期待される石炭火力/木質バイオマス発電所、ミドル電源となるLNG火力発電所を中心に、2020年度までには2015年度比60.4%増の1,544.7万kWが予測される。2020年度以降には100万kW級の石炭/LNG火力発電所の建設計画も相次いでおり、新電力の電源規模は大幅に拡大すると予想される。
ガス小売りの自由化は、1995年より段階的に対象範囲が拡大されてきた。2017年4月1日にガス小売全面自由化が実施されるが、競争基盤となるインフラ面でパイプラインの整備やガスの保安体制など課題も多く、電力市場とは競争環境が大きく異なるため、ガスの全面自由化は新規事業者にとって参入障壁が高く電力自由化よりも参入者が限定されるとみられる。
新たな自由化市場となるガス小口販売への参入は、2016年11月24日時点で電力関連会社5社が登録されている。その他にも、石油元売、通信会社などがガス小売りへの参入意向を示しているが、まだ検討段階の事業者が多い。既存の自由化範囲でガス小売りへの参入をすでに果たしている事業者であっても、今後も大口供給に特化し小口への参入はしない意向を示す事業者もある。託送料金などの制度が整うのを踏まえて、各社のガス小売り事業の詳細が明らかになるのは、自由化目前になるとみられるとしている。(編集担当:慶尾六郎)
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