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個人消費動向、『悪い』と回答した企業が51.9%となり半数を超える
2016年11月実施のTDB景気動向調査の特別企画「2017 年の景気見通しに対する企業の意識調査」において、景気回復に必要な政策として「個人消費拡大策」が5年連続でトップとなった[写真拡大]
2016年11月実施のTDB景気動向調査の特別企画「2017 年の景気見通しに対する企業の意識調査」において、景気回復に必要な政策として「個人消費拡大策」が5年連続でトップとなった。国内総生産(GDP)の約6割を占める個人消費の拡大は、本格的な景気回復に欠かせない要素となっている。そこで、帝国データバンクは、個人消費活性化に対する企業の見解について調査を実施した。
現在の個人消費動向についてどのように感じているか尋ねたところ、『悪い』と回答した企業が51.9%となり半数を超えた。他方、『良い』は 8.7%で1割を下回ったほか、「どちらともいえない」は35.9%で3社に1社となった。特に、「非常に良い」と回答した企業は0.0%(0社)、「良い」も0.5%にとどまり、個人消費動向について企業は非常に厳しくみている様子がうかがえるとしている。
業界別に『悪い』の割合をみると、『小売』が64.5%で最も高く唯一 6割を超えた。消費者と直接接する小売業の危機感の高さが際立つ結果となった。消費動向が『悪い』とみている企業からは、「価格に大変敏感で、購入決定までにリサーチする時間が長くなっている」(自転車小売、大阪府)や「消費を“吟味”し、身の丈消費をする傾向がある」(男子服小売、東京都)など、消費者が時間をかけて購入する傾向の高まりを指摘する意見があった。
『良い』とみている企業からは、「年末の賞与も上積みされ消費意欲が増している」(建築工事、徳島県)など所得環境の改善のほか、「建築後、20~25 年経過した高齢者住宅のリフォームが多い」(ビルメンテナンス、長崎県)、「レンタカーの予約状況が回復基調」(自動車賃貸、兵庫県)といった自社商品への反応の変化をあげる企業もみられた。また、「ネット販売で多数の新興企業に需要が散らばり企業毎の感覚には現れないが、全体では数年前より消費傾向は高まっている」(貸衣装、神奈川県)や「『がまん消費疲れ』からの『ちょい高消費』の動きが出ている」(土木建築サービス、東京都)など、購入場所の多様化や購買行動の変化で消費の動きを捉えることが難しくなっていることを指摘する意見もあった。
これまでに実施された消費活性化策のうち、どのような政策で効果があったと思うか尋ねたところ、「所得税減税」が 43.9%で最高となった。次いで、「エコカー減税・補助金」が4割を超えたほか、「住宅ローン減税」が3割超となるなど、減税にともなう消費者の負担軽減策が上位にあがった。さらに、「エコポイント制度(住宅エコポイントや家電エコポイント)」、「プレミアム付商品券」など、消費を行うことで付加サービスが得られる政策が続いた。これまで実施された消費活性化策について、厳しい経済環境が続いたなかで直接的に消費を押し上げる政策を評価している一方、根本的には生活が豊かになる政策が重要と考えている様子がうかがえるとしている。(編集担当:慶尾六郎)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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