躍進するウェアラブルデバイスに注目のセンサ技術が登場

2016年11月12日 21:53

印刷

記事提供元:エコノミックニュース

脈波センサは、ヘルスケア分野だけでなくメディカル分野などでの応用も期待されており、今後、ウェアラブル機器のさらなる進化に貢献しそうだ。

脈波センサは、ヘルスケア分野だけでなくメディカル分野などでの応用も期待されており、今後、ウェアラブル機器のさらなる進化に貢献しそうだ。[写真拡大]

 最近、目や耳にする機会がめっきり増えたウェアラブルデバイス。中でも、ヘルスケア意識の高まりなどを背景に、スポーツバンドなどのウェアラブルデバイスの人気が高いようだ。また近年では、個人が使う用途はもちろんのこと、企業や政府、軍などの機関にも需要が拡大している。

 矢野経済研究所によると、2015年のウェアラブルデバイスの世界市場規模は、メーカー出荷台数ベースで7105万9000台、カテゴリ別ではスマートバンド4637万台、スマートウォッチ2218万台、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)87万4000台、スマートグラス78万台、その他85万5000台。2020年には、5倍近くの3億2278万台になると予測している。また、国内市場規模は2015年の時点で209万2000台。こちらも2020年には5倍強となる1160万台の急成長が予測されている。

 中でも、脈拍数測定機能が搭載されたスポーツバンドやスマートウォッチなどのウェアラブルデバイスが人気の主流で、今後もさらなる重要拡大が見込まれている。ところが、ウェアラブルデバイスは小型軽量が大原則であることから、バッテリ容量の問題が宿命的につきまとう。そのため、小さなバッテリで、できるだけ長時間駆動可能な低消費電力を実現するデバイスが求められてきた。また、スポーツなどの激しい動きや、太陽光などの赤外線が強い環境下ではノイズが発生してしまうことから、安定して正確な脈拍数を得ることは難しかった。

 このような需要の高まりの中、高性能センシング技術などで知られるローム株式会社が脈波信号を測定する脈波センサ「BH1790GLC」を開発し、注目されている。

 脈波とは、心臓が血液を送り出すことに伴い発生する、血管の容積変化のことだ。光学式の脈波センサは、体表面にセンサを接触させるだけでで、脈拍数の計測や 最大酸素摂取量、ストレスレベルの推定などができる画期的な技術だ。今回、ロームが開発した脈波センサ「BH1790GLC」は、ロームが培ってきた光センサ技術のノウハウと、独自のアナログ回路技術によってセンサ感度を向上することに成功したもので、LED の輝度が低くても、脈波を正確に感知することが可能なうえ、業界最小クラスの低消費電力を実現している。さらに、脈波センサに特化した光学フィルタ構造を採用することで、人体を透過しやすい外乱光の赤外線/赤色光をフィルタで除去、カラーフィルタで緑光を強調させることで、高精度検出を実現。赤外線の影響をなんと従来品比で1/10以下にまで低減したという。

 脈波センサは、ヘルスケア分野だけでなくメディカル分野などでの応用も期待されており、今後、ウェアラブル機器のさらなる進化に貢献しそうだ。(編集担当:藤原伊織)

■関連記事
特別支援学校で「Moff Band」の活用 教科学習への参加促進へ
オムロン、非接触型「車載用脈拍センサー」CEATECで発表。生体センシングで安全運転支援
「2017年末までに欲しい商品」欧州では3Dプリンターが人気
大阪大学、パッチ式脳波センサー開発 運転時覚せい状態や認知症等脳疾患の計測にも
ウェルネス・ヘルスケア領域に特化した人工知能研究所設立へ

※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。

関連キーワード

関連記事